泉津事解之男神 神社の神様 - 神社ファン

泉津事解之男神

よもつことさかのおのかみ

  • 神話・伝説
  • 男神・男性
泉津事解之男神

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

祭神ランキング31位

泉津事解之男神とは?

泉津事解之男神は日本書紀に登場する男神である。泉津事解之男、事解之男神とも表記される。日本書紀神代巻第五段の一書第十に見られる神で、本文や古事記には登場しない。
日本書紀の一書では、黄泉国を訪れたイザナギがイザナミと別離にかかわる誓いを交わした際、イザナギが吐いた唾から速玉之男が生まれ、続いてその唾を掃き払ったことから泉津事解之男が生まれたと記されている。速玉之男と泉津事解之男は、いずれもイザナギとイザナミの関係に区切りをつける場面から生まれた神である。
神名の「事解」については、「事」を夫婦の契り、「解」をその関係を解くことと捉え、夫婦の契りを解消することを表しているとする解釈がある。このため泉津事解之男神は、イザナギとイザナミの別離という行為が神格化された神とも考えられている。また、唾を掃き払う行為から生まれたことから、関係を断つだけでなく、穢れや災いを払い除ける神としても解釈されてきた。
後世には悪い関係や災いとの縁を断つ神として信仰され、悪縁切り、厄除け、災難除けなどのご利益があるとされる。
泉津事解之男神は熊野信仰と深く結びついている。熊野本宮大社では事解之男神の名で上四社の第一殿に熊野牟須美大神とともに祀られ、第二殿には速玉之男神、第三殿には家津美御子大神が祀られている。この三殿の神々は熊野三所権現の中心をなす神々として信仰されてきた。
熊野信仰では本宮・新宮・那智の三山でそれぞれの神々を祀り、やがて熊野十二所権現として体系化されていった。事解之男神もその神々の一柱として熊野信仰の中に組み込まれ、日本書紀の一書にわずかに登場する神でありながら、熊野信仰の全国的な広がりによって各地で祀られるようになった。
平安時代以降、熊野三山への信仰が盛んになると、熊野の神々は全国各地へ勧請され、多数の熊野神社が成立した。事解之男神も熊野の神々とともに各地へ勧請され、同じ日本書紀の説話で先に生まれた速玉之男神とともに祀られる例が多く見られる。
このように泉津事解之男神は、記紀に残された神話そのものは非常に少ないものの、イザナギとイザナミの別離から生まれた神として、後世には悪縁や災いを断つ信仰と結びつき、さらに熊野信仰を通じて全国へ広がった神である。

エピソード

黄泉の別れを掃う行為から生まれた神
泉津事解之男神は、伊弉諾尊と伊弉冉尊が黄泉で決別する場面から生まれた神である。ただし、この神が登場するのは『日本書紀』本文ではなく、神代巻第五段の一書第十である。
一書によれば、亡くなった伊弉冉尊を追って黄泉へ赴いた伊弉諾尊は、変わり果てた妻の姿を見て地上へ帰ろうとした。伊弉諾尊が伊弉冉尊に夫婦の縁を離れることを誓い、唾を吐くと、その行為から速玉之男が生まれた。続いて、その跡を掃うと、泉津事解之男が生まれたと伝えられる。
この誕生場面は、伊弉諾尊が黄泉から帰った後に行う禊より前に置かれている。そのため泉津事解之男神は、禊で生まれた神ではなく、夫婦の誓いを解き、別離を確定させる行為から現れた神と理解するのが適切である。
『古事記』にも伊邪那岐命と伊邪那美命が黄泉比良坂《よもつひらさか》で別れる物語はあるが、掃う行為から泉津事解之男が生まれる記述はない。この誕生は『日本書紀』の一書に伝わる異伝である。

出典・参考:『日本書紀』巻第一 神代上 第五段一書第十



契りを解くことから縁切りの神へ
泉津事解之男神の「事解《ことさか》」は、結ばれていた事柄や契りを解くことに関わる名と考えられている。神話では、伊弉諾尊と伊弉冉尊が夫婦の関係を断つ場面で現れるため、後世には絶縁や縁切りを司る神として信仰されるようになった。
ここでいう縁切りは、人との関係だけに限らない。病気や災い、悪習慣など、自分を苦しめるものとの縁を断つ願いにも結びつけられている。泉津事解之男神は、不要になった結びつきを解き、新たな一歩へ進むための神として受け止められてきた。
ただし、『日本書紀』そのものが泉津事解之男神を「縁切りの神」と説明しているわけではない。古典に記された夫婦の決別と神名の解釈をもとに、後世の信仰の中で縁切りの神格が形づくられたものである。

出典・参考:『日本書紀』巻第一 神代上 第五段一書第十、『先代旧事本紀』



熊野で速玉之男とともに祀られる神
泉津事解之男神は、黄泉の別れの場面で先に生まれた速玉之男と深く結びつく神である。『日本書紀』の一書では、伊弉諾尊が唾を吐くと速玉之男が生まれ、その跡を掃うと泉津事解之男が生まれたと記され、二柱は連続する行為から現れている。
熊野本宮大社では、泉津事解之男神は事解之男神の名で、上四社第一殿に熊野牟須美神とともに祀られている。また、熊野の神々を祀る各地の熊野神社でも、速玉之男とともに祭神となる例が多く見られる。
泉津事解之男神が祭神ランキングで高い位置にあるのは、熊野の主要な祭神として祀られ、熊野信仰の広がりとともに各地へ勧請されてきたためである。神話での登場が『日本書紀』の一書に限られていても、熊野信仰を通じて広く祀られていることが、その高い順位につながっている。

出典・参考:『日本書紀』巻第一 神代上 第五段一書第十、熊野本宮大社「御祭神」



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出典文献

日本書紀

先代旧事本紀

神格

絶縁・縁切りの神

ご神徳

縁切り

別称・異称

泉津事解之男

よもつことさかのお

日本書紀

泉津事解之男神

よもつことさかのおのかみ

先代旧事本紀

与母都事解男命

よもつことさかのおのみこと

その他

与母都㕝解男命

よもつことさかのおのみこと

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予母津事解之男命

よもつことさかのおのみこと

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予母都事解之男命

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事佐加之男命

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その他

事解之命

ことさかのみこと

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その他

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黄泉津事解之男命

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その他

関連する神様

速玉男命 

祀られている主な神社

杭全神社
(大阪府平野区平野宮町2-1-67)
波上宮
(沖縄県那覇市若狭1丁目25−11)
加波山三枝祇神社 本宮
(茨城県桜川市真壁町長岡1251番地)
加波山三枝祇神社 親宮
(茨城県桜川市真壁町長岡1250番地)
加波山三枝祇神社 里宮
(茨城県桜川市真壁町長岡809)