ウカノミタマ 神社の神様 - 神社ファン

ウカノミタマ

うかのみたま

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ウカノミタマ

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

ウカノミタマ

表記なし

ウカノミタマ

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祭神ランキング5位

ウカノミタマとは?

ウカノミタマは記紀神話に登場する神である。古事記では宇迦之御魂神と記し、日本書紀では倉稲魂命と記す。伏見稲荷大社(京都府京都市)の主祭神である宇迦之御魂大神と同じ神として祀られ、稲荷信仰を代表する神の一柱である。
その系譜は古事記と日本書紀で異なる。古事記ではスサノオと神大市比売の子として生まれ、大年神と兄弟である。一方、日本書紀の一書では、イザナギとイザナミが飢えた際に倉稲魂命が生まれたとされる。
神名の「ウカ」は食物や穀物を意味するとされ、ウカノミタマは稲や穀物、食物を司る神として信仰されてきた。稲荷信仰が広がるにつれて農業だけでなく、商売繁盛、産業興隆、家内安全など幅広い信仰を集めるようになった。
保食神、オオゲツヒメ、トヨウケビメなども食物を司る神であり、後世の神社信仰ではウカノミタマと同一視されたり、互いに入れ替わるような形で稲荷神として祀られたりする例が見られる。ただし、記紀ではそれぞれ別の神として登場する。古典上の神の区別と、後世の稲荷信仰の中で生まれた神格の重なりは分けて見る必要がある。
また、神名の響きが近いことなどから宇賀神信仰とも習合し、蛇神や弁財天信仰などと結びつく例も見られる。これも記紀に記されたウカノミタマ本来の神話とは異なる、後世に形成された信仰である。
記紀にはウカノミタマの性別が明記されておらず、女神として祀る神社が多い一方、性別については一律に断定できない。
これらのことから、ウカノミタマのご利益は五穀豊穣、産業興隆、商売繁盛、家内安全、諸芸上達などとされる。
ウカノミタマは伏見稲荷大社(京都府京都市)をはじめ、全国各地の稲荷神社で広く祀られている。

エピソード

記紀で異なるウカノミタマの誕生
ウカノミタマは、『古事記』と『日本書紀』で異なる系譜を持つ神である。『古事記』では、スサノオが大山津見神の娘である神大市比売を娶り、その間に大年神と宇迦之御魂神が生まれたと記される。ウカノミタマは大年神の弟または妹にあたるが、『古事記』はその後の具体的な事績を語っていない。
一方、『日本書紀』本文にはウカノミタマは登場せず、神生みを記した一書第六に倉稲魂命《うかのみたまのみこと》として現れる。そこではイザナギとイザナミが国土を生んでいく過程で、飢えて気力が乏しくなった時に倉稲魂命が生まれたとされる。スサノオの子とする『古事記』とは大きく異なる伝承である。
二つの系譜に共通するのは、ウカノミタマが食物や穀物と深く結びつく神として位置づけられている点である。系譜を一つに決めつけるのではなく、記紀それぞれに異なる伝承が残されている神として理解する必要がある。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業



「ウカ」が示す稲の霊
ウカノミタマの神格を理解するうえで重要なのが、その神名である。國學院大學の神名データベースでは、「ウカ」はトヨウケビメの「ウケ」や、『日本書紀』に登場する保食神の名にも通じ、食物を意味するとされている。
さらに『和名類聚抄』は「稲魂」を「うけのみたま」、俗には「うかのみたま」と読むとし、『延喜式』の大殿祭祝詞でも、稲の霊を「宇賀能美多麻《うかのみたま》」とする説明が見える。このためウカノミタマは、単に食物全般の神というより、特に稲に宿る霊、収穫された稲の穀霊を神格化した存在と考えられている。
『日本書紀』で「倉稲魂命」と表記されることも、穀物を納める倉との結びつきを思わせる。稲は古代の人々の生活を支える中心的な作物であり、その霊を神として祀ることは、豊かな実りと生活の安定を願う信仰につながった。後世にウカノミタマが五穀豊穣や産業の守護神として信仰される背景には、こうした稲の霊としての神格がある。

出典・参考:『延喜式』、國學院大學 古典文化学事業



伏見稲荷大社とウカノミタマ
ウカノミタマを現在の稲荷信仰と結びつけるうえで最も重要な神社が伏見稲荷大社である。伏見稲荷大社の本殿には五柱の神が祀られ、その中央座に宇迦之御魂大神が鎮まる。これら五柱は総称して稲荷大神とされている。
伏見稲荷大社の起源について、『山城国風土記』逸文には、秦伊呂具《はたのいろぐ》が餅を的にして矢を射たところ、餅が白鳥となって飛び、その留まった山に稲が生じたため社を祀ったという伝承が残る。社伝では和銅4年(711)2月の初午の日に伊奈利山へ神を祀ったと伝えている。ここで語られる稲荷信仰の起源と、『古事記』『日本書紀』に登場するウカノミタマの系譜は別の伝承であり、記紀に「ウカノミタマ=稲荷神」と記されているわけではない。
しかし、稲の霊と考えられるウカノミタマは、後世の稲荷信仰の中で重要な祭神となった。現在の伏見稲荷大社では宇迦之御魂大神を中心に稲荷大神を祀り、五穀豊穣だけでなく商売繁昌、産業興隆、家内安全など幅広い信仰につながっている。

出典・参考:伏見稲荷大社、『山城国風土記』逸文



稲荷大神と狐の関係
ウカノミタマは稲荷信仰と深く結びつくため、狐そのものと混同されることがある。しかし、伏見稲荷大社は「稲荷大神様はきつねではありません」と明確に説明している。狐は稲荷大神の眷属《けんぞく》、つまり神に仕える使いとされる存在である。
伏見稲荷大社では、稲荷大神の使いである狐は野山にいる普通の狐ではなく、人の目には見えない神聖な眷属とされ、白狐《びゃっこ》として崇められている。境内で狐像を多く目にするのも、この眷属信仰によるものである。したがって、ウカノミタマを「狐の神」と説明するのは正確ではない。
ウカノミタマの本来の神格は、神名や古典の記述から食物・稲の霊と結びつくものと考えられている。そこへ後世の稲荷信仰が発展し、稲荷大神の眷属として狐が広く知られるようになった。ウカノミタマ、稲荷大神、狐の三者を区別することで、稲荷信仰の姿がより分かりやすくなる。

出典・参考:伏見稲荷大社、國學院大學 古典文化学事業



食物神たちとの関係
日本神話には、ウカノミタマ以外にも食物と深く関わる神が複数登場する。代表的なのが『日本書紀』の保食神、『古事記』のオオゲツヒメ、そしてトヨウケビメである。神社ファンではこれらの神とウカノミタマをそれぞれ別の神として管理しているが、信仰や解釈の上では互いに近い神格として関連づけられてきた。
その理由の一つが神名である。ウカノミタマの「ウカ」、トヨウケビメの「ウケ」、保食神の「ウケ」は、いずれも食物を表す語と関係すると考えられている。また『延喜式』の大殿祭祝詞では、屋船豊宇気姫命《やふねとようけひめのみこと》について「稲の霊」であり、俗に「うかのみたま」と呼ぶという説明がある。ここからも、古代の祭祀の中で食物神・稲霊の神格が重なり合う面があったことが分かる。
ただし、『古事記』ではウカノミタマとオオゲツヒメは別々に登場しており、記紀がこれらをすべて同一神としているわけではない。「食物神だから同じ神」と断定するのではなく、異なる神々が後世の信仰や解釈の中で近い神格として結びつけられたと考えるのが適切である。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、『延喜式』、國學院大學 古典文化学事業



農耕神から商売繁盛の神へ
ウカノミタマは稲の霊と考えられる神だが、現在の信仰は農業だけにとどまらない。伏見稲荷大社では、稲荷大神を古くから衣食住と人々の豊かな生活を守る神として伝え、今日では商売繁昌、産業興隆、家内安全、交通安全、芸能上達などの守護神として信仰されている。
稲荷信仰の起源を伝える『山城国風土記』逸文には、稲が生じる奇瑞が語られており、伏見稲荷大社の社伝でも鎮座の年に五穀が豊かに実ったと伝える。稲や食物の豊かさを守る神への信仰が基礎にあり、時代が進むにつれて、人々の生業そのものの繁栄を願う信仰へと範囲を広げていった。
その結果、農業中心の社会で五穀豊穣を願われた稲荷大神は、商工業が発達すると商売や産業の守護神としても崇敬を集めるようになった。ウカノミタマのご利益として五穀豊穣と商売繁盛が並ぶのは、異なる神格を寄せ集めたというより、生活を支える「実り」への願いが時代に応じて広がった信仰の姿と見ることができる。

出典・参考:伏見稲荷大社、『山城国風土記』逸文



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出典文献

古事記

日本書紀

先代旧事本紀

続日本後紀

神格

五穀豊穣の神 諸産業繁盛の神

ご神徳

五穀豊穣 産業興隆 商売繁盛 家内安全 諸芸上達

別称・異称

宇迦之御魂神

うかのみたまのかみ

古事記

倉稲魂命

うかのみたまのみこと

日本書紀

稲倉魂神

うかのみたまのかみ

先代旧事本紀

宇迦能御玉神

うかのみたまのかみ

先代旧事本紀

葦稲葉神

あしいなばのかみ

続日本後紀

倉稲玉神

うかのみたまのかみ

その他

倉稲魂霊命

うかのみたまのみこと

その他

宇加乃御玉命

うかのみたまのみこと

その他

宇加乃御玉御祖命

うかのみたまのみおやのみこと

その他

宇加之御霊神

うかのみたまのかみ

その他

宇加之御魂命

うかのみたまのみこと

その他

宇加之美魂神

うかのみたまのかみ

その他

宇加之魂命

うかのみたまのみこと

その他

宇加魂命

うかのみたまのみこと

その他

宇賀之御魂命

うかのみたまのみこと

その他

宇賀之霊神

うがのみたまのかみ

その他

宇賀御霊命

うかのみたまのみこと

その他

宇賀能御魂命

うがのみたまのみこと

その他

宇迦之御霊命

うかのみたまのみこと

その他

宇迦之美魂神

うかのみたまのかみ

その他

宇迦之霊大神

うかのみたまのかみ

その他

宇迦大神

うかのおおかみ

その他

宇迦御霊神

うかのみたまのかみ

その他

宇迦神霊命

うかのみたまのみこと

その他

宇迦能御魂命

うかのみたまのみこと

その他

宇迦能霊命

うかのみたまのみこと

その他

宇迦魂之命

うかのみたまのみこと

その他

稲蒼魂命

うかのみたまのみこと

その他

蒼稲魂命

うかたまのみこと

その他

食稲魂命

うかのみたまのみこと

その他

同一とされる神様

保食神   オオゲツヒメ   トヨウケビメ  

神様グループ

八柱御子神 

祀られている主な神社

伏見稲荷大社
(京都府伏見区深草藪之内町68)
笠間稲荷神社
(茨城県笠間市笠間1番地)
小網神社
(東京都中央区日本橋小網町16-23)
二見興玉神社
(三重県伊勢市二見町江575)
祐徳稲荷神社
(佐賀県鹿島市古枝乙1855)