タギツヒメ 神社の神様 - 神社ファン

タギツヒメ

たぎつひめ

  • 神話・伝説
  • 女神・女性
タギツヒメ

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

祭神ランキング35位

タギツヒメとは?

タギツヒメは記紀神話に登場する女神。アマテラスとスサノオの誓約の段で、アマテラスがスサノオの十握剣を噛み砕き、吹き出した霧から生まれた三女神の一柱である。タキリビメ、イチキシマヒメと合わせて宗像三女神と呼ばれ、同じ誓約で生まれた五柱の男神と合わせて五男三女神と呼ばれている。
古事記では多岐都比売命と記され、三女神の三番目に生まれ、辺津宮に鎮座する神とされる。一方、日本書紀本文では湍津姫と記され、二番目に生まれて中津宮に鎮座するとされる。日本書紀には誓約について複数の異伝が収められており、三女神の神名や誕生順、鎮座する宮の組み合わせには伝承による違いが見られる。現在の宗像大社では湍津姫神の名で、福岡県宗像市の大島に鎮座する中津宮に祀られている。
記紀ではタギツヒメ自身の婚姻や子について詳しく語られていないが、後世の文献には異なる系譜も伝えられている。先代旧事本紀では大己貴神との間に事代主神と高照光姫大神をもうけたとする系譜が見られる。
また、出雲国風土記には阿遅須枳高日子命と天御梶日女命の子として多伎都比古命というよく似た名の男神が登場する。多伎都比古命は雨乞いに関係する水神的な性格を持ち、タギツヒメとの関係を指摘する説もあるが、出雲国風土記にタギツヒメの夫とする記述はない。
宗像三女神は日本書紀でアマテラスから海北道中に降り、歴代天皇を助け、祭祀を受けるよう命じられた神々として描かれている。玄界灘から大陸へと続く海上交通を守護する神として古くから崇敬され、宗像氏によって祭祀が行われてきた。
タギツヒメの神名については、水が激しく流れることを意味する「滾つ」に由来するという説がある。ただし語源については異説もあり、確定しているわけではない。海や水と深く関わる宗像三女神の一柱として、海の神、水の神、航海の神として信仰されている。
タギツヒメは宗像三女神を祀る総本宮の宗像大社をはじめ、全国の宗像神社や厳島神社などで広く祀られている。海上安全、交通安全、大漁祈願などのご利益があるとされる。

エピソード

誓約でスサノオの剣から生まれた女神
タギツヒメは、アマテラスとスサノオが高天原で行った誓約《うけい》から生まれた宗像三女神の一柱である。スサノオが高天原を訪れた際、アマテラスは国を奪いに来たのではないかと疑い、武装して迎えた。スサノオは邪心がないことを示すため、互いの持ち物から神を生む誓約を申し出た。
『古事記』では、アマテラスがスサノオの十拳剣《とつかのつるぎ》を三つに折り、天真名井《あめのまない》の水ですすいで噛み砕いた。吹き出した息の霧から多紀理毘売命、市寸島比売命、多岐都比売命の順に三女神が生まれた。タギツヒメは、この伝承では三番目に生まれた女神である。
『日本書紀』本文でも、アマテラスがスサノオの十握剣を噛み砕き、吹き出した霧から田心姫、湍津姫、市杵嶋姫が生まれている。ここではタギツヒメに当たる湍津姫は二番目であり、『古事記』とは誕生順が異なる。
三女神はスサノオの剣を物実《ものざね》として、アマテラスの息から生まれた神々である。『古事記』ではスサノオが自らの心が清いことの証しとして三女神の誕生を主張する一方、生まれた神の所属は持ち物の所有者によって定められ、三女神はスサノオの子とされている。

出典・参考:『古事記』上巻、『日本書紀』巻第一 神代上 第六段



古典によって異なる誕生順と鎮座する宮
タギツヒメは、『古事記』では多岐都比売命、『日本書紀』では湍津姫と記される。宗像三女神の一柱であることは共通しているが、誕生した順序や鎮座する宮は伝承によって異なる。
『古事記』では、多紀理毘売命が沖津宮、市寸島比売命が中津宮、多岐都比売命が辺津宮に鎮座すると記されている。この伝承に従えば、タギツヒメは九州本土にある辺津宮《へつみや》の神となる。
一方、『日本書紀』本文では、田心姫が沖津宮、湍津姫が中津宮、市杵嶋姫が辺津宮に鎮座する。現在の宗像大社もこの組み合わせを受け継ぎ、タギツヒメに当たる湍津姫神を筑前大島の中津宮に祀っている。
ただし、『日本書紀』に収められた一書には、湍津姫を辺津宮の神とする伝承もある。タギツヒメを必ず中津宮の神とするのは現在の宗像大社や『日本書紀』本文に沿った説明であり、すべての古典に共通する配置ではない。宗像三女神は同じ三柱でありながら、神名、誕生順、鎮座地の組み合わせに複数の伝承を持つ神々なのである。

出典・参考:『古事記』上巻、『日本書紀』巻第一 神代上 第六段、宗像大社「由緒」「中津宮」



中津宮に鎮まり海の道を守る女神
『日本書紀』では、アマテラスが宗像三女神に対し、海上の道へ降り、天孫を助けて天孫から祀られるよう命じたと記されている。この神勅により、タギツヒメを含む宗像三女神は、海の道と国家を守る神として位置づけられた。
現在、タギツヒメは湍津姫神の名で、福岡県宗像市の大島に鎮座する宗像大社中津宮に祀られている。大島は九州本土と沖ノ島の間に位置し、辺津宮、沖津宮とともに古代の海上交通を守る宗像信仰の拠点となった。タギツヒメの神名は、水が激しく流れることを表す「滾つ《たぎつ》」に由来するという説があり、海や水の神としての性格とも結びつけられている。
宗像三女神は、宗像神社や厳島神社をはじめ、全国各地の神社へ勧請されてきた。タギツヒメが祭神ランキングで高い位置にあるのも、宗像三女神の一柱として、広い神社系統の中で祀られているためである。
こうした信仰から、タギツヒメは海の神、航海の神、水の神として崇敬され、海上安全、交通安全、大漁祈願などのご利益を持つ神とされている。

出典・参考:『日本書紀』巻第一 神代上 第六段、宗像大社「由緒」「中津宮」



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出典文献

古事記

日本書紀

先代旧事本紀

神格

海の神 水の神 航海の神

ご神徳

海上安全 交通安全 大漁祈願 商売繁盛

別称・異称

多岐都比売命

たきつひめのみこと

古事記

田寸津比売命

たきつひめのみこと

古事記

湍津姫

たぎつひめ

日本書紀

高津姫神

たかつひめのかみ

先代旧事本紀

多岐都姫命

たきつひめのみこと

先代旧事本紀

湍津島姫命

たぎつしまひめのみこと

先代旧事本紀

辺津島姫命

へつしまひめのみこと

先代旧事本紀

多伎津姫命

たぎつひめのみこと

その他

多伎津比売命

たきつひめのみこと

その他

多伎都姫命

たぎつひめのみこと

その他

多伎都比売命

たきつひめのみこと

その他

多岐津姫命

たきつひめのみこと

その他

多岐津比売命

たきつひめのみこと

その他

多岐津毘売命

たきつびめのみこと

その他

多岐都姫尊

たぎつひめのみこと

その他

多岐都比女命

たきつひめのみこと

その他

多岐都毘売命

たきつびめのみこと

その他

多気都比売命

たきつひめのみこと

その他

多祇津姫

たきつひめ

その他

多紀律比売命

たきつひめのみこと

その他

多紀津姫命

たきつひめのみこと

その他

多紀津比売命

たきつひめのみこと

その他

多紀津毘売命

たきつひめのみこと

その他

多紀都姫命

たきつひめのみこと

その他

多紀都比売命

たきつひめのみこと

その他

多紀都比女命

たきつひめのみこと

その他

多紀都毘売命

たぎつひめのみこと

その他

多芸都姫神

たぎつひめのかみ

その他

湍津媛命

たぎつひめのみこと

その他

湍津比咩命

たぎつひめのみこと

その他

湍津比女命

たぎつひめのみこと

その他

滝津姫命

たきつひめのみこと

その他

瑞津姫命

たぎつひめのみこと

その他

田寸津毘売命

たぎつひめのみこと

その他

田岐都比売命

たきつひめのみこと

その他

田記津比売神

たきつひめのかみ

その他

高津比売命

たかつひめのみこと

その他

関連する神様

イチキシマヒメ  タキリビメ 

神様グループ

宗像三女神  五男三女神 

祀られている主な神社

厳島神社
(広島県廿日市市宮島町1-1)
宗像大社 中津宮
(福岡県宗像市大島1811)
岩木山神社
(青森県弘前市百沢寺沢27)
江島神社
(神奈川県藤沢市江の島2ー3ー8)
市比賣神社
(京都府下京区河原町五条下ル一筋目西入ル)