表筒男命 神社の神様 - 神社ファン

表筒男命

うわつつのおのみこと

  • 神話・伝説
  • 男神・男性
表筒男命

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

祭神ランキング38位

表筒男命とは?

表筒男命は記紀神話に登場する男神である。『古事記』では上筒之男命、《うわつつのおのみこと》『日本書紀』では表筒男命と記される。イザナギの子で、底筒男命、中筒男命と合わせて住吉三神と呼ばれる。住吉大神とも称されるが、神社によっては神功皇后に当たる息長帯姫命を含めることもある。
イザナギが黄泉国から戻り、穢れを清めるために筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原で禊を行った際、水面で身をすすぐと表筒男命が生まれた。水底から生まれた底筒男命、水の中ほどから生まれた中筒男命とともに、海や航海を守る神として信仰されている。また、黄泉国の穢れを祓う禊から現れたため、清めや祓いをつかさどる神でもある。
住吉大神は神功皇后の航海を守った神として『日本書紀』に登場し、古代には遣唐使をはじめとする国家的な航海の守護神として崇敬された。のちに信仰は漁業、海運、貿易など海に関わる人々へ広がり、現在では交通安全の神としても信仰されている。また、平安時代以降は住吉大神全体が和歌や文学を守る神として重んじられ、神仏習合では大日如来を本地仏とする説も成立した。
住吉三神を祀る住吉神社は全国各地に鎮座しており、代表的な神社が大阪府大阪市の住吉大社である。表筒男命は同社の第三本宮に祀られている。住吉信仰が各地へ広がったことから、表筒男命も住吉三神の一柱として多くの神社に祀られている。

エピソード

禊の水面から生まれた神
表筒男命は、イザナギが黄泉国の穢れを清めるために行った禊《みそぎ》から生まれた神である。『古事記』では上筒之男命、『日本書紀』では表筒男命と記される。底筒男命中筒男命と合わせて住吉三神と呼ばれ、海や航海、祓いをつかさどる神として信仰されている。
『古事記』によれば、イザナギは筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原《あわきはら》で禊を行った。水の底で身をすすぐと底津綿津見神と底筒之男命、水の中ほどですすぐと中津綿津見神と中筒之男命、水面ですすぐと上津綿津見神と上筒之男命が生まれた。表筒男命は、このうち水面に対応する住吉神である。
『日本書紀』の一書にも、イザナギが海で穢れをすすいだ際、水底から底筒男命、潮の中ほどから中筒男命、潮の上から表筒男命が生まれたとする伝承が収められている。三柱の名は、禊を行った水中の位置をそれぞれ表したものとみられる。
表筒男命が水面から生まれたという神話は、海上を進む船や航海を守る神格と結びついた。また、住吉三神はいずれも黄泉国の穢れを清める禊から現れたため、海の神であると同時に祓いの神でもある。表筒男命だけに独立した行動を語る神話は少なく、底筒男命、中筒男命とともに働く住吉大神の一柱として信仰されてきた。

出典・参考:『古事記』上巻、『日本書紀』巻第一 神代上、住吉大社「住吉大社の由緒」



神功皇后の航海を守った住吉大神
表筒男命は、底筒男命中筒男命とともに住吉大神として神功皇后の物語に登場する。『日本書紀』によれば、仲哀天皇が熊襲征討の途中で崩御した後、神功皇后は神託に従って海を渡った。住吉三神はその航海を守護し、船団を目的地へ導いた神々として語られている。
皇后が船団を進めると追い風が起こり、海の魚が船を支えたと記される。この航海の成功により、住吉三神は海上交通や国家的な航海を守る神として特に重んじられるようになった。ただし、この場面では表筒男命だけの役割が個別に語られるのではなく、三柱が一体となった住吉大神として神意を示している。
帰還の途中、住吉大神の荒魂《あらみたま》は穴門《あなと》の山田邑《やまだむら》に、和魂《にぎみたま》は大津渟中倉長峡《おおつのぬなくらのながお》に鎮まりたいと神託を告げた。穴門は長門国(現在の山口県)、大津渟中倉長峡は摂津国(現在の大阪府)に当たるとされ、後者が現在の住吉大社の鎮座地に結びつけられている。
表筒男命を含む住吉三神は、この伝承を通じて皇室や国家の航海を守る神となった。その信仰はのちに漁業や海運、貿易など海に関わる人々へ広がり、現在では陸上や航空を含む交通安全の神としても崇敬されている。

出典・参考:『日本書紀』巻第九 神功皇后紀、住吉大社「住吉大社の由緒」



住吉大社の第三本宮に祀られる神
大阪府大阪市の住吉大社では、底筒男命中筒男命、表筒男命、息長足姫命《おきながたらしひめのみこと》をそれぞれ別の本宮に祀っている。表筒男命が祀られるのは第三本宮である。第一本宮には底筒男命、第二本宮には中筒男命、第四本宮には神功皇后に当たる息長足姫命が祀られている。
第一本宮から第三本宮までは東西に一直線に並び、第三本宮の南側に第四本宮が置かれている。現在の四棟の本殿は文化7年(1810)に造営された住吉造の建築で、いずれも国宝に指定されている。三柱を別々の本殿に祀る構成によって、表筒男命が住吉三神を構成する一柱であることが明確に示されている。
住吉大神は禊から生まれた祓いの神であり、海中から現れた航海守護の神でもある。古代には遣唐使が航海の安全を祈り、『万葉集』には住吉の神が船旅の無事を告げる歌が残されている。海上輸送が盛んになった時代には、船運に携わる人々からも篤く信仰された。
また、住吉の地は古くから和歌に詠まれ、平安時代以降、住吉大神は和歌や文学を守る神としても崇敬された。こうした神格は表筒男命だけに成立したものではなく、住吉大神全体に対する信仰である。表筒男命は住吉三神の一柱として、航海安全、祓い、産業、文芸などを守る神となり、住吉信仰の広がりとともに全国各地で祀られている。

出典・参考:住吉大社「本殿」「住吉大社の神様」「住吉大社の由緒」、『万葉集』



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出典文献

古事記

日本書紀

先代旧事本紀

神格

海の神 航海の神

ご神徳

海上安全 漁業守護 海運業守護 貿易業守護 造船業守護 航空安全 文芸上達

別称・異称

上筒之男命

うわつつのおのみこと

古事記

上筒男

うわつつのお

古事記

表筒男命

うわつつおのみこと

日本書紀/先代旧事本紀

磐土命

いわつちのみこと

日本書紀/先代旧事本紀

表筒雄

うわつつのお

日本書紀

上筒雄命

うわつつのおのみこと

その他

関連する神様

底筒男命  中筒男命 

神様グループ

住吉三神 

祀られている主な神社

住吉大社
(大阪府住吉区住吉2-9-89)
住吉神社
(福岡県博多区住吉3丁目1−51)
安住神社
(栃木県高根沢町上高根沢2313)
桜神宮
(東京都世田谷区新町3丁目21-3)
住吉神社
(北海道小樽市住ノ江2丁目5番1号)