アヤカシコネ 神社の神様 - 神社ファン

アヤカシコネ

あやかしこね

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  • 女神・女性
アヤカシコネ

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

祭神ランキング83位

アヤカシコネとは?

アヤカシコネは記紀神話に登場する女神である。『古事記』では阿夜訶志古泥神《あやかしこねのかみ》、『日本書紀』では惶根尊《かしこねのみこと》と記され、一書には吾屋惶根尊《あやかしこねのみこと》、忌橿城尊《いむかしきのみこと》、青橿城根尊《あおかしきねのみこと》などの名も見える。天地が開かれた初めに現れた神世七代《かみよななよ》の第六代にあたり、男神のオモダルと対をなす。
『古事記』ではオモダルに続いて「妹阿夜訶志古泥神」と記されている。ただし、この「妹」は必ずしも実の妹だけを意味するものではなく、二柱を夫婦神とみる説と兄妹神とみる説がある。記紀には二柱の具体的な事績はほとんど記されておらず、その神格については神名や神世七代における位置などからさまざまな解釈が行われてきた。
アヤカシコネの神名は、感動や畏怖を表す「あやにかしこし」に通じるとする説がある。オモダルがアヤカシコネの整った姿を褒め、それに対してアヤカシコネが「あやにかしこし」と応じた言葉から二柱の神名が生まれたとする説も知られている。また、オモダルを人体や国土の完成を表す神とし、アヤカシコネをそれに対応する女性神と考える説や、女性の身体、大地の完成などと結びつける説もある。
後世には、その神名やオモダルと対をなす神格から、美容や容姿、技芸などに関わる信仰とも結びついた。ただし、記紀にアヤカシコネを美容や美人祈願の神とする物語が記されているわけではなく、後世に形成された信仰である。
また、神世七代の第六代にあたることなどから、オモダルとともに仏教の第六天魔王と結びつけられたとする説がある。神仏習合のもとで第六天信仰と結びついた神社のうち、明治の神仏分離以降、オモダルとアヤカシコネを祭神とするようになった神社も多い。現在も各地の第六天神社や大六天社などで、オモダルとともに祀られている。

エピソード

神世七代の第六代として現れた女神
天地が開けた後、地上には国土の形成を表す神々が次々に現れた。『古事記』では、国之常立神からイザナギとイザナミまでを神世七代《かみよななよ》と呼ぶ。初めの二代は一柱だけで現れる独神であり、それ以降は男神と女神が対になって誕生する。
アヤカシコネは、オモダルとともに神世七代の第六代に位置づけられる。『古事記』では於母陀流神と妹阿夜訶志古泥神、『日本書紀』では面足尊と惶根尊と記される。二柱の次に国生みと神生みを行うイザナギとイザナミが現れるため、アヤカシコネは天地創成の神々と、具体的な活動を始める男女神とをつなぐ位置にいる。
記紀には、アヤカシコネが何かを生み出したり、地上で活動したりする物語は記されていない。しかし、神世七代の系譜そのものが、まだ定まらない大地から男女一対の神が整っていく過程を示すと考えられている。アヤカシコネとオモダルの代で人の姿や男女の身体が完成し、その次のイザナギとイザナミによる国生みへ進んだとする解釈もある。ただし、これは神名や神々の配列に基づく後世の解釈であり、記紀本文が直接説明しているわけではない。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「阿夜訶志古泥神」



畏れ敬う女性を表す神名
『古事記』に記される阿夜訶志古泥神という神名については、いくつかの解釈がある。「アヤ」を驚きや感動を表す言葉、「カシコ」を畏れ敬うこと、「ネ」を女性を表す称とし、「なんと畏れ多い女性であることか」という称賛を神名にしたとする説がよく知られている。『日本書紀』の惶根尊という表記にも、畏れ敬うという意味を持つ「惶」の字が用いられている。
対となるオモダルの名は、顔や姿を意味する「面」と、不足なく整うことを意味する「足る」を組み合わせたものと解釈される。このため二柱の神名は、姿が完全に整った男神と、それを見て畏れ敬う女神を表すとも、人の容貌や男女の身体が完成した段階を表すとも考えられてきた。
こうした神名の解釈から、後世には二柱を容姿端麗、美容、縁結び、夫婦円満などに関わる神とする説明も生まれた。しかし、『古事記』『日本書紀』にはアヤカシコネの美しさや夫婦生活を語る物語はない。古典に記された神名と、そこから発展した後世の神徳は分けて理解する必要がある。アヤカシコネは単なる美しさの神ではなく、世界に男女の形が整ったことを象徴する女神として受け止められてきたのである。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「阿夜訶志古泥神」「於母陀流神」



第六天神社の祭神となったアヤカシコネ
アヤカシコネとオモダルは、関東地方を中心に分布する第六天神社や大六天神社で祀られている。二柱が選ばれたのは、神世七代の第六代に当たるためである。ただし、第六天神社の信仰は、初めから記紀神話の二柱だけを祀っていたものではない。
仏教では、欲界にある六つの天界の最上位を他化自在天《たけじざいてん》といい、第六天とも呼ぶ。その主は仏道修行を妨げる魔王とされ、日本では第六天魔王として畏れられた。中世から近世にかけて第六天を祀る社が関東各地に広がり、村境の守護や災厄除けを願う信仰を集めた。
明治時代に神仏分離が進むと、第六天魔王を祀っていた社の多くは祭神や社名の変更を求められた。その際、「第六」という共通点から、神世七代の第六代であるオモダルとアヤカシコネを祭神とする神社が現れた。したがって、記紀のアヤカシコネと仏教の第六天魔王は本来別の存在であり、現在の祭神は神仏分離を経て成立した例が多い。
東京都台東区の榊神社は、かつて第六天神宮と呼ばれ、面足尊と惶根尊を祀る。神奈川県茅ヶ崎市や東京都杉並区の第六天神社でも二柱が祭神となっている。物語の少ないアヤカシコネが各地で祀られている背景には、神世七代の系譜と第六天信仰が結びついた歴史がある。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、榊神社公式サイト、神奈川県神社庁「第六天神社」、東京都神社庁「第六天神社」



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出典文献

古事記

日本書紀

先代旧事本紀

神格

五臓の神(肺臓)

ご神徳

技芸上達 美人祈願

別称・異称

阿夜訶志古泥神

あやかしこねのかみ

古事記

惶根尊

かしこねのみこと

日本書紀/先代旧事本紀

吾屋惶根尊

あやかしこねのみこと

日本書紀

吾屋橿城尊

あやかしきのみこと

日本書紀

忌橿城尊

いむかしきのみこと

日本書紀

青橿城根尊

あおかしきねのみこと

日本書紀

吾屋橿城根尊

あやかしきねのみこと

先代旧事本紀

蚊鴈姫尊

かかりひめのみこと

先代旧事本紀

阿夜可志古泥神

あやかしこねのかみ

その他

同一とされる神様

天魔  

関連する神様

オモダル 

神様グループ

オモダル・アヤカシコネ  神世七代(古事記)  神世七代(日本書記) 

祀られている主な神社

武蔵第六天神社
(埼玉県岩槻区大戸1752)
近津神社
(茨城県大子町町付1218番地)
近津神社
(茨城県大子町下野宮1626番地)
足尾神社
(茨城県石岡市小屋1番地)
馬込第六天神社
(埼玉県岩槻区馬込200)