国宝 本殿・拝殿 | 吉備津神社 - 神社ファン

有名度

関脇

吉備津神社

きびつじんじゃ

岡山県北区吉備津931

国宝 本殿・拝殿

更新日:2025年10月6日

全国唯一の吉備津造りによる国宝建築

吉備津神社の本殿・拝殿は独特な構造の社殿です。前後に配置された二つの入母屋屋根を同じ高さの棟で結び、檜皮で葺き上げています。
建築学上では比翼入母屋造と呼ばれ、全国でここだけの様式のため吉備津造りとも称されています。上空から見ると棟が「エ」の字のような形になっており、隣り合う破風の様子は「つがいの鳥が羽を広げた姿」にも例えられます。
吉備津造りの御社殿
現在の本殿・拝殿は、室町時代の1425年(応永32年)に約25年の歳月をかけて完成したものです。以後600年近くにわたり大規模な修理を受けることなく、雄大な姿を保っています。中世期における神社建築の傑作として、1952年(昭和27年)には国宝の指定を受けました。
拝殿からみる御社殿
建物の左手が本殿、右手が拝殿です。本殿は正面五間、背面七間、梁間八間、棟高約12メートルの大建築で、京都の八坂神社に匹敵する規模を持ち、出雲大社の約2倍以上の面積を誇ります。亀腹と呼ばれる白漆喰の基壇上に北向きに建つ、堂々とした構えの建物です。
大きな特徴は、神社建築でありながら仏教建築の技法が随所に取り入れられていることです。特に、東大寺再建で知られる僧重源が大陸から伝えた大仏様の「挿肘木」という組物技法が用いられており、神社本殿に大仏様を応用した全国唯一の例とされています。この技法により、深い軒や回縁を支柱なしで支えることができます。
本殿内部は外陣、朱の壇、中陣、内陣、内々陣と複数の区画に別れており、奥に進むほど床面と天井が高くなる段階的な構成です。
外陣と中陣の多くは天井板を張らずに梁や垂木などを見せる化粧屋根裏となっており、中陣前面と朱の壇には格縁天井、最奥の内々陣は舟底天井が設けられています。朱塗りや丹、胡粉による色鮮やかな装飾が施され、仏教建築の特色も表れています。現在の外観は木の素地のままですが、建立当初は丹塗りで彩られていたと考えられています。
拝殿内部
拝殿は間口一間、奥行三間、高さ12メートルの大きさで、本殿の前方に突き出すように接続された建物です。
本殿と同じ太さの円柱を使用し、大仏様の組み物技法が用いられています。内部は屋根裏まで吹き抜けの構造で、正面は切妻造、屋根は檜皮葺です。前面と両側面には裳階(もこし)と呼ばれる庇状の屋根が付けられ、その部分は本丸瓦葺となっています。全国に類例のない、独特な形式です。
本殿とは七段の木段で結ばれており、当初から一体の建物として設計されています。そのため国宝指定でも「吉備津神社本殿・拝殿」として登録されています。なお1910年(明治43年)の遷宮の際、拝殿のみ解体修理が行われ、柱の一部が交換されました。

温羅退治の矢取明神を祀る社

本殿裏側の扉横には、箭取神社が鎮座します。温羅退治の伝説にゆかりのある社で、「矢取明神」がお祀りされています。大吉備津彦命と温羅が弓矢で戦った際、温羅が射た矢を空中で奪い取ったと伝えられている神さまです。
毎年1月3日には、この伝説にちなんだ神事「矢立の神事」が執り行われます。
本殿裏の箭取神社

艮御崎宮の鬼面

本殿内部の外陣の鬼門の方角にある艮御崎宮(うしとらおんさきぐう)には、大吉備津彦命によって退治された温羅の御霊が祀られています。
艮御崎宮の鬼面吉備津神社内の案内版
この宮に伝わる桧で作られた大型の鬼面は、温羅の顔を表したものです。深い彫りによって頭髪や眉が力強く表現されており、額に角を差し込んだ穴が残っていることからも、その鬼としての特徴がよく表れています。敵として戦った温羅を神として祀るのは、その霊を鎮めて災いを防ぎ、さらに守護神として崇めるという日本古来の信仰の表れです。
また本殿守護の神として、外陣には艮御崎宮のほかにも乾御崎、巽御崎、坤御崎があり、中陣の東西の二隅には、東笏御崎と西笏御崎があります。これらは、あわせて六所御崎と呼ばれています。本殿内部のため通常は昇殿できませんが、アプリ動画で確認が可能です。
本殿内バーチャルアプリ確認

木造獅子狛犬

本殿の内陣の東西には、一対の木造獅子狛犬が安置されています。鎌倉時代後期から南北朝時に造られたと考えられている、寄木造の像です。西側の像は「獅子」、東側の像は「狛犬」と呼ばれており、両方で「阿吽の形」をとっているのが特徴です。各像とも約93センチの大きさになります。社伝によると、1351年(観応2年)に起こった神社火災の際に、この狛犬が燃える木をくわえて消したと言われています。2002年(平成14年)には国指定重要文化財となりました。

吉備津神社と同じ屋根を持つ建物

比翼入母屋造の屋根を持つ建物は、吉備津神社の本殿以外では千葉県市川市にある法華経寺祖師堂の2つのみです。宗祖日蓮聖人を祀る建物で、江戸時代中期の1678年(延宝6年)に建立されました。
桁行七間、梁間七間の関東地方有数の大型仏堂で、内部構成は江戸時代中期の特徴をよく表しています。庶民信仰に支えられた近世仏堂の典型例として、1985年(昭和60年)に国の重要文化財に指定されました。
中山法華経寺・祖師堂

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