有名度
大関住吉大社
すみよしたいしゃ
大阪府大阪市住吉区住吉2-9-89
御文庫
更新日:2026年9月16日
大阪最古の図書館
境内後方、神苑の近くには、御文庫(おぶんこ)と呼ばれる建物が建っています。享保8年(1723)に書物を収蔵するために建立された文庫で、「大阪最古の図書館」とも称されています。御文庫は土蔵造りの2階建てで、建築面積は約28平方メートル。寄棟造、本瓦葺の屋根を持ち、正面には唐破風の庇が設けられています。庇を支える柱には面取りした角柱を用い、虹梁形頭貫や虹梁を重ねた意匠が施されています。
白い漆喰壁の下部には海鼠壁が設けられ、1階北側と2階の南北両側面には、八角形に縁取られた鉄扉付きの丸窓が開けられています。書庫としての堅牢な造りのなかに装飾性も備えた、江戸時代中期の貴重な建築物です。平成30年(2018)には国の登録有形文化財に登録されました。

三都の書肆が建立した御文庫
住吉大社は古くから文学との関わりが深く、『伊勢物語』や『源氏物語』をはじめとする数多くの文学作品にも登場します。こうした住吉信仰を背景に、享保8年(1723)、大坂・京都・江戸の三都の書肆20人が発起人となり、各地の書林の賛同を得て御文庫が創建されました。建立と同時に151人から575部もの書籍が奉納されたことが、当時の『奉納書籍目録』から確認されています。
その後、大坂の本屋仲間の有志によって「住吉大社御文庫講」が結成され、書籍の奉納をはじめ、蔵書の整理・保管、虫干し、点検・修理、目録の作成などを担うようになりました。宝暦3年(1753)や安永6年(1777)、文政8年(1825)などには『御文庫書籍目録』も作成され、江戸時代から組織的に蔵書が管理されてきました。
明治43年(1910)には大阪天満宮の御文庫講と合併して「大阪書林御文庫講」となり、その活動は現在まで受け継がれています。
300年以上続く出版業界の信仰
御文庫が一般的な神社の文庫と大きく異なるのは、神社が必要とする文献を保管するだけではなく、版元から奉納された膨大な書籍を収蔵し、かつては一般にも公開していたことです。このことから「大阪最古の図書館」と称されるようになりました。出版業者が新しく本を出版すると、初摺り本を奉納し、家内安全や商売繁盛を祈願する伝統も生まれました。この習わしは途絶えることなく現在まで続いており、大阪書林御文庫講では現在も住吉大社への新刊書籍奉納や参拝、御文庫に収められた書籍を外へ運び出して風を通す曝書を行っています。
御文庫に蓄積された書籍は膨大です。平成15年(2003)に刊行された『住吉大社御文庫目録』だけでも、昭和19年(1944)頃までに奉納された和装本約1万9700冊、洋装本約4900冊が収録されています。その後も献本は続けられ、現在では蔵書が10万点を超えるまでになっています。
約300年前に三都の本屋たちが書物を後世へ残すために建てた小さな土蔵が、建物そのものと膨大な蔵書、そして出版業者による奉納の伝統まで現在に受け継いでいます。御文庫は、住吉大社と文学・出版文化との深いつながりを今に伝える貴重な場所です。
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