有名度
大関熱田神宮
あつたじんぐう
愛知県名古屋市熱田区神宮一丁目1番1号
清水社
更新日:2026年9月21日
「お清水さま」と親しまれる水の神
「こころの小径」の途中、本宮の東側に鎮座するのが末社「清水社(しみずしゃ)」です。御祭神は、水を司る罔象女神(みずはのめのかみ)。社殿の奥には水が湧き出しており、古くから「お清水さま」と呼ばれ親しまれてきました。
熱田神宮では、この湧き水で眼を洗えば眼がよくなり、肌を洗えば肌がきれいになるという信仰があると紹介しています。水の神を祀る清水社らしく、社殿だけでなく、その奥から湧き出す水も大きな見どころとなっています。

平景清の眼病を治したと伝わる湧き水
清水社の湧き水には、平家の武将として知られる平景清にまつわる伝説も残されています。景清が眼を患った際、清水社に祈願して湧き水で眼を洗ったところ、眼病が治ったと伝えられています。こうした伝説もあり、清水社は古くから眼にまつわる信仰を集めてきました。
熱田神宮の南側、神戸町には平景清を祀る「景清社」も鎮座しており、こちらにも眼病平癒にまつわる信仰が伝えられています。熱田の地には、景清と眼をめぐる伝承が複数残されていることがわかります。

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楊貴妃の墓の一部と伝わる石
清水社でも特に目を引くのが、湧き水の中央にある苔むした石です。この石は、世界三大美女の一人として知られる中国・唐代の楊貴妃の石塔、あるいは墓の一部とも伝えられています。
熱田と楊貴妃を結びつける伝説は、近年になって生まれたものではありません。享禄2年(1529)頃の熱田神宮の姿を伝える「享禄古図」には楊貴妃の墓が描かれているとされ、清水社の現地案内でも、湧き水の中にある石について「享禄の古図にも描かれている楊貴妃の石塔の一部との説」があると紹介されてきました。
熱田には古くから、楊貴妃を熱田明神の化身とする伝説があります。
伝説では、唐が日本への侵攻を企てたことを知った熱田大神が楊貴妃の姿となって唐へ渡り、その美貌によって玄宗皇帝の心を惑わせ、日本への侵攻を思いとどまらせたとされています。その後、熱田へ戻ったとも伝えられ、楊貴妃の墓にまつわる伝承も残されました。
もちろん、現在の石が実際に楊貴妃の墓や石塔の一部であることを示すものではありません。しかし、少なくとも享禄古図にまでさかのぼる古い伝承として熱田の地に残されている点は、清水社を知るうえで興味深いところです。

石に三度水をかけて願掛け
湧き水のそばには柄杓が用意されており、中央にある石に三度水をかけて祈ると願いが叶うともいわれています。石までは少し距離があるため、柄杓ですくった水を届かせるのは意外と難しいです。何度か挑戦しながら石を目がけて水をかける参拝者の姿も見られます。
また、湧き水で肌を洗うと肌がきれいになるともいわれ、眼病平癒だけでなく、美肌を願う人にも親しまれています。
水を司る罔象女神を祀る清水社は、平景清の眼病平癒や楊貴妃の墓の伝説、願掛けや美肌の信仰など、湧き水を中心にさまざまな伝承が残る末社です。

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