神門 | 秋葉山本宮秋葉神社 - 神社ファン

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秋葉山本宮秋葉神社

あきはさんほんぐうあきはじんじゃ

静岡県浜松市天竜区春野町領家841

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神門

更新日:2026年9月20日

境内で最も古い建造物

秋葉神社の神門は、上社の本殿から約50メートル山を下った表参道に建っています。下社から表参道を歩いて上社へ向かう方はこの神門をくぐりますが、上社の駐車場から本殿へ向かう場合は通常通らない場所にあります。
間口約10メートル、奥行約6メートルの大きな門で、天保2年(1831)に造営されました。入母屋造りの屋根と伝統的な屋根葺手法であるこけら葺が特徴の、境内で最も古い建造物です。
1943年(昭和18年)に起こった山火事では、この神門を除く山上の社殿が焼失しました。そのため、江戸時代の秋葉山の姿を現在に伝える貴重な建造物となっています。浜松市指定有形文化財にも指定されています。
神門の建立を手掛けたのは、信州上諏訪を拠点とした立川流の名工たちです。棟札には、立川流2代目の和四朗冨昌と和蔵父子、その弟である次右衛門富保と喜三良父子によって奉建されたことが記されています。
特に2代目和四朗冨昌は、江戸時代後期を代表する立川流の名工です。秋葉神社の神門だけでなく、諏訪地方を中心に数多くの社寺建築や彫刻に携わりました。
神門

軒下を飾る迦陵頻伽

神門をくぐる際には、建物全体だけでなく軒下の彫刻にも注目してみてください。
軒下にある華やかな彫刻は文化9年(1812)に諏訪三郎が制作したものと伝えています。
なかでも特徴的なのが、門の中央に取り付けられた迦陵頻伽(かりょうびんが)です。迦陵頻伽は仏教に登場する想像上の生き物で、この神門では上半身が天女、下半身が鳳凰の姿で表現されています。
そのほかにも獅子や力人などの彫刻が施されており、深く彫り込むことで立体感のある姿が表現されています。1831年の建築だけでなく、それより前に制作されたと伝わる彫刻が組み込まれていることも、この神門の興味深いところです。
神門の彫刻
西ノ閽の神門には現代の彫刻師・南部白雲による四神が施されていますが、こちらでは江戸時代の立川流に関係する彫刻を見ることができます。二つの神門を訪れ、それぞれの木彫を見比べてみるのもおすすめです。
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復元された神門

約190年にわたって表参道を行き交う参拝者を迎えてきた神門ですが、長い年月の中で建物のゆがみや地盤沈下が進んでいました。
さらに2018年には台風による倒木で屋根の一部が破損しました。こうした経年劣化や被害を受け、2020年から大規模な保存修理工事が始まりました。
工事にあたって秋葉神社、浜松市、施工業者の三者で協議が行われ、「神門を一度すべて解体したうえで、使用できる古い材をできる限り残し、1831年の建設当時の姿に復元する」という方針が決められました。
単純に新しい材料へ交換するのではなく、解体によって当初の構造や屋根の状態を調査しながら、江戸時代の姿を明らかにしていく工事となりました。

約190年前のケヤキを残した12本の柱

神門を支えてきた12本の柱には、目の詰まった良質なケヤキ材が使われていました。
保存修理では、この約190年前の柱をできる限り残すため、「金輪継ぎ」と呼ばれる伝統的な継手が用いられました。傷んだ部分などに新しい木材を継ぎ足し、古い木材と新しい木材を一体化させています。
金輪継ぎは金具に頼らず木材同士を接合する方法で、古い柱をすべて新材へ交換するのではなく、1831年の建立時から神門を支えてきた材料を可能な限り後世へ残す修復が行われました。
軒下に施された獅子や力人、迦陵頻伽などの彫刻も、虫食いによる穴や欠損した部分を補修し、古い材を残しながら制作当時の姿へと復元されています。
秋葉山本宮秋葉神社 復元された神門イメージ

秋葉山の杉で復元されたこけら葺

屋根にも大きな発見がありました。
神門の屋根は昭和30年(1955)の修繕によってアルミ板葺きとなっていましたが、今回の解体調査によって、天保2年(1831)の建立当初はこけら葺だったことが判明しました。
そこで保存修理では、約190年前の姿に近づけるため、屋根を再びこけら葺へ戻しています。
こけら葺とは、薄く加工した木の板を何枚も重ねて屋根を葺く伝統的な技法です。復元された神門では、秋葉山で育った杉を厚さ約6ミリに手割りした板が使用されています。
さらに注目したいのが屋根の形です。神門に見られる屋根のラインの反りは「立川流独特のもの」です。
立川流の名工が手掛けた建築、秋葉山の杉を使ったこけら葺、そして約190年前のケヤキの柱。保存修理によって単に新しくなったのではなく、江戸時代の神門がどのように造られていたのかを調査し、その成果を反映して復元されています。
約3年にわたる保存修理を終え、2023年(令和5年)5月16日には神門の竣工式とくぐり初め式が行われ、神社や行政、施工関係者など約70人が参列しました。
現在の神門は、1831年の建立時から残る古材と、現代の職人による伝統技術の双方によって受け継がれています。上社の駐車場から本殿だけを参拝すると通らない場所にありますが、時間に余裕があれば表参道を少し下り、ぜひ実際に神門をくぐってみてください。

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