有名度
小結久能山東照宮
くのうざんとうしょうぐう
静岡県静岡市駿河区根古屋389
金の成る木
更新日:2026年9月26日
家康の逸話にちなんだご神木
家康が埋葬された神廟の近くには、注連縄が巻かれた立派な大楠が空に向かってそびえ立っています。家康にまつわる有名な逸話にちなんで「金の成る木」と呼ばれているご神木で、多くの参拝者が足を止めて見入っています。

ある日、家康が家臣たちに「金の成る木」を知っているかと尋ねたところ、知っている者は誰もいませんでした。
そこで家康は自ら筆を取り、幹が三本に分かれた木を描いて「よろず程のよ木(万事のよき)」「志ひふかき(慈悲深き)」「志やうぢ木(正直)」と書き、「これを常々信用すれば必ず富貴が得られよう」と説いたと伝えられています。
すると、そばに控えていた細川忠興がさらに左右へ枝を描き、「あさお木(朝起き)」「いさぎよ木(潔き)」「志んぼうつよ木(辛抱強き)」「ゆだんな木(油断なき)」「ようじょうよ木(養生良き)」「かないむつまし木(家内睦まじき)」と書き加えました。これを見た家康は、左右の枝が繁盛すればさらに富貴を得られるであろうと喜び、家臣たちに「金の成る木」を写し取って家族にも教えるよう命じたといいます。
「金の成る木」と聞くと金運をもたらす木を想像しますが、家康が説いたのは、正直で慈悲深く、節度を守り、早起きや辛抱、健康、家庭円満を心掛けるという日々の生き方でした。
そして家康自身、莫大な金銀を蓄えたことでも知られています。家康が残した金の蓄えについては、後世の記録をもとに純金約42トンに相当するとする試算もあり、金そのものの現在価格だけでも数千億円規模になります。当時と現代では貨幣価値が大きく異なるため単純な比較はできませんが、家康が日本史上屈指の巨大な富を築いた人物であったことは確かです。
かつて現地に掲げられていた案内板によると、この逸話にちなみ、いつしか「金の成る木」に願掛けとして硬貨を供える人も現れるようになったといいます。
現在、授与所では家康の逸話にちなんだ「金の成る木守」も授与されています。また、杉の木を使用した「金の成る木御朱印」もあり、杉の香りを感じることができる珍しい御朱印となっています。
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2代目「金の成る木」
実は現在の大楠は、「金の成る木」の2代目になります。初代は、3代将軍徳川家光の時代に植えられたと伝わる樹齢約350年の大杉でした。かつて現地に設置されていた案内板にも、この杉の大樹が家康の逸話に登場する「金の成る木」にふさわしい木として紹介されていました。
その後、大杉は幹が傷んで傾いたため伐採され、その隣に立っていた大楠が2代目の「金の成る木」となりました。
大杉の周囲には家康の神廟をはじめとする重要文化財や、国宝の御社殿などが建っているため、伐採は周囲の文化財を傷つけないよう慎重に行われたといいます。
現在では注連縄を巻かれた大楠が神廟近くにそびえ、家康が家臣たちに説いた「金の成る木」の逸話を今に伝えています。
名前だけを見ると金運に目が向きますが、この木に込められているのは「お金が自然に増える」という教えではありません。
家康が「金の成る木」として示した九つの言葉を知ったうえで大楠を見上げると、天下人となり莫大な富を築いた家康が、富貴を得るために何を大切にすべきだと考えていたのか、その人生観まで感じられるご神木です。

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