玉垣 | 久能山東照宮 - 神社ファン

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久能山東照宮

くのうざんとうしょうぐう

静岡県静岡市駿河区根古屋389

😞 🙁 😐 🙂 😄

玉垣

更新日:2026年9月26日

繊細な彫刻が施されている玉垣

久能山東照宮には、本殿と拝殿を石の間で連結した「御社殿」が建っています。その御社殿の周囲を囲んでいるのが、精巧な彫刻で飾られた玉垣です。
1912年(明治45年)には国の重要文化財に指定されました。国宝の御社殿に目を奪われがちですが、御社殿の周囲を歩く際には、この玉垣にもぜひ注目してください。
腰長押の下には、1枚の板を彫り上げた極彩色豊かな透彫が並んでいます。その数は玉垣腰に92枚、渡廊下腰に14枚、合わせて106枚にも及びます。
これだけの数がありながら、それぞれ異なる動植物が生き生きと表現されているのが大きな見どころです。
玉垣おはぐろ蜻蛉(Wikipedia パブリック・ドメイン)
なかでも圧倒的に多いのが鳥を題材にした彫刻です。小鳥だけでも45枚あり、そのほとんどが1羽ではなく2羽、あるいは3羽で描かれています。
久能山東照宮では、この小鳥たちの姿について、長く続いた戦乱の時代が終わり、家康によってもたらされた平和な世を謳歌しているように見えると紹介しています。
さらに小鳥の背景にも注目です。
満開の梅の花、自由に伸びる蒲の穂、丸々と実った枇杷、今にも割れて落ちそうな栗、垂れ下がる粟の穂などが細かく彫り込まれています。鳥や動物だけでなく、実り豊かな植物を組み合わせることで、五穀豊穣や花咲く平和な世が表現されています。
ほかにも鷺や鶴、孔雀、鷹などの大きな鳥をはじめ、狛犬、唐獅子、木鼠、虎、犀など、さまざまな生き物が登場します。
その中でも珍しいのが、蟷螂(カマキリ)や揚羽蝶です。
華麗な社殿装飾というと龍や獅子などを思い浮かべますが、久能山東照宮の玉垣には身近な小鳥や昆虫、果実まで彫られています。106枚を順番に見ながら、どのような生き物や植物が隠れているのか探してみるのも楽しみ方のひとつです。
久能山東照宮 玉垣の彫刻
これほど多くの彫刻が残されているにもかかわらず、誰がこれらを彫ったのか、作者の名前は伝わっていません。
久能山東照宮も「作者名が残されていないのは誠に残念」としながら、当時の工人たちが努力と工夫を重ねて残した作品であると紹介しています。
名の残らなかった江戸時代初期の職人たちが、一枚一枚の板に鳥や動物、花や実りを彫り込み、それが400年以上を経た現在も御社殿を囲んでいることになります。
国宝の御社殿を拝観する際には建物だけでなく、ぜひ視線を少し下げて玉垣の腰部分を見てみてください。離れて眺めると連続する極彩色の装飾ですが、近づいて見ると一枚一枚に異なる小さな世界が広がっています。
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家康お手植えのみかん

東門と御社殿の間、玉垣の近くには、駿府城から分木された「家康公御手植のみかん」が植えられています。
冬になると多くの実を結び、時には参拝者へ配られることもあるそうです。現在一般に流通している品種改良されたみかんとは異なる、昔ながらのみかんにつながる木です。
その元となる「家康手植の蜜柑」は、現在も駿府城跡に整備された駿府城公園に残されており、静岡県の天然記念物に指定されています。
品種は「ほんみかん(紀州蜜柑)」と呼ばれるもので、品種改良されていないため、香りが強く、種のある小さな実をつけるのが特徴です。現在では同じ品種が一般に流通することはほとんどなく、静岡地方におけるみかんの歴史を知るうえでも貴重な木とされています。
家康お手植えのみかん
この木には家康にまつわる逸話が残されています。
家康が大御所として駿府城にいた時代、紀州から鉢植えのみかんが献上され、家康自ら駿府城の天守台付近へ植えたと伝えられています。
ただし、これはあくまで伝承です。静岡県の文化財資料も、現在の木を実際に家康自身が植えたことを示す確かな証拠はないとしています。それでも家康ゆかりの木として長く守られ、静岡のみかん栽培の歴史を伝える存在として県指定天然記念物になっています。
現在も駿府城公園では毎年実が収穫され、静岡市内の施設などで市民へ配布されています。
久能山東照宮の玉垣近くにあるみかんも、そうした駿府城の家康ゆかりの蜜柑から分けられたものです。
400年以上前の家康にまつわる伝承を持つみかんが駿府城で守られ、その木から分けられたみかんが家康を祀る久能山東照宮で育っていることになります。
冬に訪れた際には、106枚の玉垣彫刻だけでなく、そのすぐ近くで実をつける家康ゆかりのみかんにも目を向けてみてください。

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