有名度
関脇富士山本宮浅間大社
ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ
静岡県富士宮市宮町1-1
湧玉池
更新日:2026年9月17日
御神水が湧き出る池
境内の東側には、富士山の伏流水を水源とする湧玉池(わくたまいけ)があります。湧玉池の水は、富士山に降った雨や雪が地下へ浸透し、幾重にも重なった溶岩層の間を流れて湧き出したものです。池が位置するのは、約1万年前に富士山から流れ出した大宮溶岩(富士宮溶岩)の末端部で、地下を流れてきた水がこの付近で地上へ湧き出しています。

清らかな水をたたえる湧玉池は国の特別天然記念物に指定されているほか、「平成の名水百選」にも選ばれています。

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浅間大社に場所を譲った「富知神社」
浅間大社が現在の場所に鎮座した背景には、湧玉池の存在が深く関係していると考えられています。富士山の噴火を豊富な湧水によって鎮めるという考えや、富士山を聖なる水源の山として崇める信仰から、湧玉池のほとりが浅間大神を祀る場所として選ばれたとする説が有力です。
Saigen Jiro (Wikipedia CC0)富知神社は『延喜式神名帳』にも記載された古社で、大山祇命を祭神としています。創建は孝昭天皇2年と伝えられ、浅間大社が現在地へ遷座する以前から、この大宮の地の地主神として祀られていました。
富知神社には、水の信仰とも深い関係があったとされ、湧玉池を「湧く霊(たま)」として祀っていたという説もあります。浅間大社が鎮座する以前から、この豊かな湧水が神聖なものとして大切にされていたことを伝える興味深い伝承です。
大同元年(806)、浅間大神が山宮から現在の大宮の地へ遷座すると、それまで当地に鎮座していた富知神社は場所を譲り、別の場所へ遷されたと伝えられています。
現在の富知神社は浅間大社から北西へ約500メートル、歩いて10分ほどの朝日町に鎮座しています。浅間大社の祭神・木花之佐久夜毘売命の父神にあたる大山祇命を祀り、現在も浅間大社と深いつながりを持つ神社です。
少し上り坂が続きますが、浅間大社が現在地へ遷座する以前の歴史を伝える場所として、あわせて訪れてみるのもおすすめです。
穢れをはらう禊場
湧玉池は、富士山へ登拝する人々にとって身を清める重要な禊の場でもありました。16世紀に制作された『絹本著色富士曼荼羅図』には、浅間大社を訪れた道者たちが湧玉池で水垢離を行い、身を清めてから富士山へ向かう姿が描かれています。富士山を神聖な山として登拝するため、湧玉池で俗世の穢れを落としてから山中へ入ったのです。

現在は池の近くまで降りられる場所があり、富士山から湧き出した冷たい水に触れることができます。年間を通して約13度という清らかな湧水に触れながら、かつてここで身を清めて富士山へ向かった道者たちに思いを馳せてみてください。
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