有名度
関脇大山阿夫利神社
おおやまあふりじんじゃ
神奈川県伊勢原市大山355
行事・10月「火祭薪能」
更新日:2026年8月25日
10月「火祭薪能」
毎年10月上旬、大山阿夫利神社の社務局にある能楽殿で「大山火祭薪能」が行われます。約300年前の元禄時代に始まった「大山能」を受け継ぐ伝統芸能で、「大山阿夫利神社の大山能狂言」として伊勢原市の指定文化財となっています。大山能の始まりには、江戸時代の大山ならではの歴史があります。当時の大山には神職、僧侶、山伏など多くの宗教者が暮らしていましたが、互いの争いや訴訟が絶えなかったと伝えられています。
この状況を憂いた徳川幕府は、紀州の観世流能楽師・貴志又七郎を大山に招き、神職・僧侶・山伏の三者に能楽を習わせました。そして年に2回、力を合わせて能を演じるよう命じたとされています。三者はともに稽古を重ね、演能を続けるうちに争いが収まり、大山に平穏がもたらされたと伝えられています。これが「大山能」の始まりです。
大山能はその後も受け継がれましたが、関東大震災や第二次世界大戦などを経て存続の危機を迎えました。昭和56年(1981)には「大山火祭薪能」として新たな形で復活し、現在まで続いています。

会場となる能楽殿は、大山能の保存・継承を目的として、火祭薪能20周年を機に社務局境内に建てられた能舞台です。舞台の背後には大山がそびえ、夕暮れから篝火が焚かれると、山を背景にした幻想的な空間の中で能や狂言を鑑賞できます。
また、大山能・狂言は次の世代へも受け継がれています。伊勢原市の市制施行30周年を記念して、人間国宝の狂言師・山本東次郎氏によって新作能「道灌」が作られました。現在は仕舞として火祭薪能で上演され、地元の子どもたちを中心に継承されています。
火祭薪能の大きな特徴は、単に歴史の古い能が奉納されているだけではなく、もともと対立していた人々を能によって結び付けるために始まったと伝えられていることです。江戸時代の大山で生まれた大山能が、約300年を経た現在も同じ大山を舞台に受け継がれています。
なお、近年は開催日や演目、観覧方法などが年度によって異なります。たとえば2025年は10月1日に開催され、観世清和による能などが上演されました。観覧する場合は、その年の開催情報を大山阿夫利神社で確認してから訪れるのがおすすめです。
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