大楠・御銀杏・きささげの木 | 上野東照宮 - 神社ファン

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小結

上野東照宮

うえのとうしょうぐう

東京都台東区上野公園9-88

大楠・御銀杏・きささげの木

更新日:2025年11月1日

大楠

上野東照宮の御神木「大楠(おおくす)」は、拝観入口を進んですぐの場所にそびえる象徴的な大樹です。樹齢はおよそ600年以上と伝わり、神社が創建される以前からこの地に根づく“上野の祖木”として長く崇敬されてきました。幹の太さはおよそ8メートル、高さは約25メートルに達し、その圧倒的な存在感は上野公園の中でも随一といわれています。現在の社殿が整えられた17世紀半ばより前から立ち続け、今も上野の地を静かに見守っています。大楠は有料拝観エリア(透塀内)に入ってすぐの場所にあり、参拝者が最初に出会う神聖な存在です。そばには建築家・中村拓志氏が設計した半屋外の「静心所(せいしんじょ)」が寄り添うように建てられ、参拝前に心を整える“祈りの場”として利用されています。根を守るため、周囲は回廊のような動線に整備され、足元には伊勢五郎太石が敷かれた聖域が広がっています。
大楠
朝の柔らかな光や夕暮れの斜光に照らされると、樹肌の陰影が美しく浮かび上がり、幻想的な景観を見せてくれます。悠久の時を生きる上野東照宮の大楠は、訪れる人々の心を穏やかに包み込むような、静けさと力強さをあわせ持つ御神木です。

御銀杏

上野東照宮の御銀杏(おんいちょう)は、かつて御神木と並び境内を象徴していた大銀杏です。江戸時代から火災を防ぐ「防火樹」として植えられ、長い間社殿を守ってきました。銀杏は乾燥しても燃えにくい性質を持つことから、上野の地における防火信仰の象徴としても大切にされてきた木です。
しかし幹が割れ、倒木の危険が生じたために伐採されることとなりました。その際、ただ伐られて終わるのではなく、その木材は再び新たな命を得て、建築家・中村拓志氏が設計した半屋外の祈りの空間「静心所(せいしんじょ)」の屋根材として生まれ変わりました。自然の循環と信仰の継承を体現する象徴的な再利用といえます。
現在も切り株は静心所のそばに残されており、その根からは新しい芽が力強く芽吹いています。その姿は、生命の再生と永続を感じさせるとともに、訪れる人々に深い感動を与えます。静心所のスリットからは、その新芽を間近に見ることができ、静寂の中で大銀杏の息づかいを感じられる特別な場所となっています。
御銀杏

きささげの木

上野東照宮の「きささげの木(木大角豆・学名Catalpa ovata)」は、金色殿(御社殿)の右手に立つ一本の古木で、1651年(慶安4年)の社殿造営時に植えられたと伝えられています。きささげは古くから「雷の落ちない木」「雷除けの木」として知られ、中国では雷神を鎮める霊木とされ、屋敷や社寺の境内に植えられてきました。その信仰が江戸にも伝わり、火災や落雷を防ぐ「防雷樹」として尊ばれるようになりました。
上野東照宮においても、社殿を雷や火災から守るための象徴的な木としてきささげが選ばれました。ノウゼンカズラ科の落葉高木であり、夏には香りのよい淡黄色の花を咲かせ、秋には細長い豆のような実を垂らします。実の形が「ささげ(大角豆)」に似ていることから、この名が付けられたといわれています。
社殿右手の透塀近くに位置するきささげは、黄金の社殿との対比の中で深い緑陰をつくり、参拝者に涼やかな木陰を与えています。夏の花期には清らかな香りが境内に漂い、秋には風に揺れる実が静かな風情を添えます。古くから「水の神が宿る木」ともいわれ、雷を呼ばず、水をもたらす木として信仰の対象となってきました。
この木は単なる装飾樹ではなく、徳川の社を守護する象徴として、370年以上にわたり社殿を見守り続けています。自然の力を借りて災厄を防ぐという江戸の知恵と信仰を今に伝える存在であり、参拝の際には社殿右側に立つこの「雷除けのきささげ」にも目を向けてみるとよいでしょう。
きささげの木

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