有名度
小結上野東照宮
うえのとうしょうぐう
東京都台東区上野公園9-88
虎の石彫
更新日:2025年11月1日
虎の石彫
上野東照宮の虎の石彫(とらのせきちょう)は、境内の透塀(すきべい)前、授与所のすぐ右側に位置する石の彫刻です。母虎が子虎を優しく見守り、子虎が母乳を飲むように寄り添う姿が生き生きと刻まれています。背景には松と竹があしらわれ、虎と合わせて「松竹虎(しょうちくこ)」という吉祥の構図を成しています。松と竹は長寿と繁栄の象徴とされ、親子の絆を重ね合わせたこの意匠は、見る人に温かみと生命力を感じさせます。この石彫は、徳川家康の生まれ年である「壬寅(みずのえとら)」にちなんで建立されたと伝えられています。壬は「新たな命の誕生」、寅は「成長と前進」を意味するとされ、天下を治めた家康公の「新たに生まれ、成長し、神となる」という生涯を象徴する彫刻でもあります。東照宮の公式案内でも、干支の虎が縁起物として家康公の威徳を表す存在であることが紹介されています。
作者や奉納時期については明らかになっておらず、公式にも「作者不明・奉納時期不詳」とされています。しかし、母虎と子虎の柔らかな体の曲線や、毛並みを丁寧に刻んだ細やかな彫り、松竹を組み合わせた構図などから、江戸初期から中期にかけての熟練した石工によるものと考えられています。
この虎の石彫は、有料拝観エリアの手前に位置し、拝観券がなくても見学できます。参道を進むと自然と目に入る場所にあり、上野東照宮の見どころの一つとして多くの参拝者が足を止めます。特に午前中は光の加減で石肌に陰影が浮かび、母虎の穏やかな表情が最も美しく見えるといわれています。
上野東照宮の虎の石彫は、可愛らしさの中に家康公の象徴としての深い意味を秘めています。親子の絆と守護の力を表すこの彫刻は、東照宮の歴史と信仰を語るうえで欠かせない存在であり、参拝の際にはぜひ立ち止まって鑑賞したい一景です。

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