大地主神 神社の神様 - 神社ファン

大地主神

おおとこぬしのかみ

  • 神話・伝説
  • 不明

祭神ランキング138位

大地主神とは?

大地主神は『古語拾遺』に登場する土地や田畑、農耕に関わる神である。神名は大いなる土地の主を意味すると考えられ、後世には国土や土地を守護する神としても信仰されている。
『古語拾遺』では、大地主神が田を耕す日に田人へ牛肉を食べさせたところ、御歳神が怒り、田に蝗《いなご》の害が起こって苗が枯れてしまった。大地主神が占いによってその原因を知り、白猪、白馬、白鶏を供えて御歳神を祀ると怒りが解け、再び苗が茂ったという。この説話は、朝廷で行われた祈年祭において御歳神を祀り、豊作を祈願する祭祀の由来を説明するものとして『古語拾遺』に記されている。
後世には土地を守護する神として信仰され、産土神などとともに地鎮祭で祀られることもある。また、大地主神を大国主や大土神と同一または近い神格とみる説もあるが、『古語拾遺』では大国主と同一神であるとは記されていない。奈良県の大和神社では倭大国魂神を大地主神とする伝承もみられるなど、各地の土地神と結びつけて信仰されてきた。

エピソード

御年神の怒りで田の苗が枯れる
平安時代初期に成立した『古語拾遺』には、大地主神が田を営んだ際の説話が収められている。大地主神が春の耕作を始める日に田人へ牛肉を食べさせると、その様子を見た御年神の子が食べ物に唾を吐き、父神へ告げた。怒った御年神が田へ蝗を放ったため、苗は篠竹のように枯れ損なわれたという。
大地主神は、片巫《かたかんなぎ》と肱巫《ひじかんなぎ》に命じて災いの原因を占わせた。占いによって御年神の祟りであると判明すると、白猪、白馬、白鶏を供えてその怒りを鎮めた。御年神はさらに、麻の葉で苗を掃い、天押草で押さえ、烏扇であおぐことなど、蝗を追い払うための方法を大地主神へ教えた。教えに従うと苗は再び茂り、その年の穀物は豊かに実ったとされる。
この説話では、大地主神は田を所有するだけの神ではなく、災害の原因を探り、祭祀を行って田を再生させる農耕の担い手として描かれている。また『古語拾遺』は、この出来事を神祇官が御年神へ白猪、白馬、白鶏を供える由来としており、古代の農耕儀礼を説明する重要な神話となっている。

出典・参考:『古語拾遺』、國學院大學古典文化学事業「御年神」、講談社デジタル版日本人名大辞典「大地主神」



地鎮祭で国土の守護神として祀られる
大地主神は『古語拾遺』では田を営む神として登場するが、現在の神社祭祀では国土を守護する神として地鎮祭で祀られている。地鎮祭は、建物の新築や土木工事を始める際に土地の神へ工事の開始を奉告し、土地を使用する許しと工事の安全、完成後の建物や生活の安泰を願う祭りである。
神社本庁が示す地鎮祭では、国土の守護神である大地主神、その地域を守る産土神、その土地に鎮まる神々を総称した此の地を宇志波伎坐大神等《このところをうしはきますおおかみたち》を祀る。大地主神が国土全体を守る神であるのに対し、産土神は一定の地域とそこに暮らす人々を守る神、土地に鎮まる神々は工事を行う場所そのものに関わる存在であり、それぞれ役割が異なる。
祭儀では敷地を祓い清め、鎌、鍬、鋤を用いて工事の開始を示し、鎮物《しずめもの》を土地へ納める。大地主神が地鎮祭で祀られるのは、土地を人間が自由に所有するという考えだけでなく、土地を司る神へ敬意を払い、その許しを得て利用するという信仰に基づく。田を営む神として語られた大地主神の性格が、現代では建築や土木工事を見守る国土守護の神へと受け継がれているのである。

出典・参考:神社本庁「地鎮祭」、奈良県神社庁「よくある疑問・質問」



大国主や大土神との関係
大地主神は、その名と神格から大国主や大土神と同一神とされることがある。しかし、『古語拾遺』の御年神説話では大地主神の系譜や別名は示されず、大国主であるとは明記されていない。『日本書紀』が挙げる大国主神の異名にも大地主神は含まれていないため、両神を古典上で確定した同一神として扱うことはできない。
一方、大国主は葦原中国《あしはらのなかつくに》を造り治めた国土経営の神である。その神格が土地の主である大地主神と重なることから、後世には大地主神を大国主の別名とする信仰が成立した。滋賀県高島市の大處神社では、大地主命を大国主命の荒魂とする社伝があり、『古語拾遺』の説話にちなむ祭祀も伝えられている。
大土神は『古事記』の大年神の系譜に登場し、土地や土壌、耕作に関わる神と考えられている。大地主神と同一神とする推測もあるが、國學院大學の神名解説でも定かではないとされる。大地主神、大国主、大土神はいずれも土地や農耕と深く関わるため信仰上では重なり得るが、古典ではそれぞれ別の名と文脈で登場する神なのである。

出典・参考:『古語拾遺』、『古事記』、『日本書紀』、國學院大學古典文化学事業「大土神」、滋賀県神社庁「大處神社」



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出典文献

古語拾遺

神格

田の神

ご神徳

ご神徳は不明です。

同一とされる神様

大国主  

祀られている主な神社

八甲田神社
(青森県青森市幸畑字阿部野163-79)
大處神社
(滋賀県高島市マキノ町森西175)
石崎地主海神社
(北海道函館市白石町248番地)
七重浜海津見神社
(北海道北斗市七重浜7丁目5番1号)
一本栗地主神社
(北海道七飯町大川9丁目1-19)