ホオリ 神社の神様 - 神社ファン

ホオリ

ほおり

  • 神話・伝説
  • 男神・男性
ホオリ

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

ホオリ

音川安親(万物雛形画譜)

ホオリ

萩野由之(少年日本歴史読本)

祭神ランキング50位

ホオリとは?

ホオリは記紀神話などに登場する男神である。古事記では火遠理命、天津日高日子穂穂手見命などと記され、日本書紀では彦火火出見尊、火折尊などの名で登場する。山の獲物を得る山幸彦としても知られている。父はニニギ、母はコノハナノサクヤビメで、古事記では火照命、火須勢理命に続き、燃える産屋の中で生まれた三柱の末弟である。妻は海神の娘であるトヨタマヒメで、二柱の間に生まれたウガヤフキアエズを通じて神武天皇の祖父にあたる。
山幸彦であるホオリは、海幸彦と呼ばれる兄のホデリと互いの道具を交換し、兄の釣針を使って魚を捕ろうとしたが、その釣針をなくしてしまった。自分の剣をつぶして多数の釣針を作って弁償しようとしたものの兄は受け取らず、元の釣針を返すよう求めた。困り果てたホオリは塩椎神の助けを受け、船に乗って海神ワタツミの宮へ向かった。
海神の宮でホオリはワタツミの娘トヨタマヒメと出会って結婚し、3年を過ごした。やがて失った釣針のことを思い出して帰郷を望むと、ワタツミは海の魚たちを集め、鯛の喉に刺さっていた釣針を発見した。さらにホオリは潮を満たす潮満珠と潮を引かせる潮干珠を授けられ、地上へ送り返された。
地上へ戻ったホオリは海神から教えられた方法に従って釣針を兄へ返し、潮満珠と潮干珠によって潮を自在に操った。困窮したホデリが攻めてくると潮を満たして溺れさせ、助けを求めると潮を引かせたため、ついにホデリは服従し、以後ホオリを守護すると誓った。日本書紀ではホデリを隼人の祖とし、その子孫が天皇に仕える由来としてこの神話を伝えている。このため海幸彦・山幸彦神話については、古代の隼人とヤマト王権との関係や、隼人服属の歴史的背景を反映したものとみる説もある。
その後、トヨタマヒメはホオリのもとを訪れ、ウガヤフキアエズを産んだ。ウガヤフキアエズと玉依姫命の間には後の神武天皇が生まれるため、ホオリは天孫ニニギから初代天皇へと続く皇統をつなぐ重要な神でもある。
ホオリは山の幸を得る神であるとともに、海神の宮を訪れて海を支配する神宝を授かったことから、山と海の双方に関係する神として信仰されている。農業守護、漁業守護、海上安全、大漁、開運などのご利益があるとされる。代表的な神社には鹿児島神宮(鹿児島県霧島市)、青島神社(宮崎県宮崎市)、若狭彦神社上社(福井県小浜市)などがある。

エピソード

燃える産屋で生まれた山幸彦
ホオリは、天孫降臨によって地上へ降ったニニギと、山の神の娘であるコノハナノサクヤビメの間に生まれた神である。『古事記』では火遠理命《ほおりのみこと》、または天津日高日子穂穂手見命《あまつひこひこほほでみのみこと》と記され、『日本書紀』では彦火火出見尊《ひこほほでみのみこと》などの名で登場する。
コノハナノサクヤビメが一夜で身ごもったため、ニニギは自分の子ではないのではないかと疑った。そこでコノハナノサクヤビメは、ニニギの子であれば火の中でも無事に産めると誓い、出入口のない産屋に入って火を放った。その燃え盛る産屋で生まれた神々の一柱がホオリである。『古事記』ではホデリ、ホスセリ、ホオリの三柱が生まれ、ホオリは末の弟にあたる。
ホオリの神名は、出産の火が弱まったときに生まれたことにちなむと考えられている。火中出産によってニニギの子であることが証明されたホオリは、皇室の祖神へと続く日向三代《ひゅうがさんだい》の一柱であり、のちに山の獲物を得る山幸彦として活躍する。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「火遠理命」



兄の釣針をなくし海神の宮へ
ホオリは山で狩りをする山幸彦、兄のホデリは海で魚を捕る海幸彦であった。『古事記』によれば、ホオリは互いの道具を交換してみたいと兄に頼み、自分の弓矢を渡して兄の釣針を借りた。しかし、道具を交換しても二柱とも獲物を得られず、ホオリは借りた釣針までなくしてしまった。
ホオリは自分の剣をつぶして多くの釣針を作り、兄へ差し出した。それでもホデリは新しい釣針を受け取らず、なくした元の釣針を返すよう求めた。困り果てたホオリが海辺で嘆いていると、塩椎神が現れて事情を尋ねた。
塩椎神はホオリのために小舟を作り、潮の流れに乗って海神《わたつみ》の宮へ向かう方法を教えた。ホオリが教えられた通りに海を進むと、魚の鱗のような屋根を連ねた海神の宮へ着いた。兄の釣針を取り戻すために始まった旅は、ホオリの運命を大きく変える海の世界への訪問となったのである。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「火遠理命」「海幸山幸」




豊玉姫との結婚と失われた釣針
海神の宮へ着いたホオリは、門のそばにある井戸のほとりで海神の娘トヨタマヒメと出会った。トヨタマヒメから話を聞いた海神は、ホオリが天つ神の御子であることを知ると、宮殿へ迎えて丁重にもてなした。やがてホオリはトヨタマヒメと結婚し、海神の宮で三年を過ごした。
三年後、ホオリは兄から借りた釣針をなくしたことを思い出し、深いため息をついた。事情を聞いた海神は、海中に住む大小の魚をすべて集め、釣針の行方を尋ねた。すると鯛だけが口を痛めて来ていないことが分かり、その喉を調べると、なくした釣針が見つかった。
海神はホオリに釣針を返すだけでなく、潮を満たす潮満珠《しおみつたま》と、潮を引かせる潮干珠《しおひるたま》を授けた。さらに兄へ釣針を返す方法と、二つの珠を使って身を守る方法を教え、鰐《わに》にホオリを地上まで送らせた。釣針を探す旅によって、ホオリは妻と海神の助力、そして潮を動かす神宝を得たのである。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「火遠理命」「海幸山幸」、青島神社公式サイト「ご由緒」




潮満珠と潮干珠で兄を従える
地上へ戻ったホオリは、海神から教えられた通りに釣針を兄のホデリへ返した。海神は、ホデリが高い土地に田を作ればホオリは低い土地に田を作り、ホデリが低い土地に田を作れば高い土地に田を作るよう教えていた。海神が潮の流れを支配したため、ホデリの田には水が行き届かなくなり、次第に暮らしが苦しくなった。
追い詰められたホデリが攻めてくると、ホオリは潮満珠《しおみつたま》を使って潮を満たし、兄を溺れさせた。ホデリが助けを求めると、今度は潮干珠《しおひるたま》を使って潮を引かせた。これが繰り返された末、ホデリは降伏し、昼夜を問わずホオリを守ることを誓った。
『古事記』では、ホデリは溺れたときの姿を演じることで仕えると約束する。『日本書紀』では、ホデリを隼人《はやと》の祖とし、その子孫が宮廷の門を守り、溺れる姿を演じて服従を示したと記されている。海幸山幸神話は兄弟の争いを描くだけでなく、隼人が宮廷で奉仕した由来を説明する神話としても伝えられた。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「火遠理命」「海幸山幸」



豊玉姫との別れと皇室へ続く系譜
ホオリが地上へ戻った後、身ごもっていたトヨタマヒメが海から訪れた。天つ神の御子を海中で産むことはできないとして、海辺に鵜《う》の羽を用いた産屋を造り、そこで出産することにしたのである。
トヨタマヒメは、海の国の者が出産するときには本来の姿へ戻るため、決して中を見ないようホオリに頼んだ。しかし、ホオリは約束を破って産屋をのぞき、トヨタマヒメが大きな鰐の姿で這い回るところを見てしまった。姿を見られたことを恥じたトヨタマヒメは、生まれた御子を残して海へ帰り、海と陸を結ぶ道を閉ざした。
二柱の間に生まれたのが、鵜葺草葺不合命である。御子はトヨタマヒメの妹であるタマヨリヒメに養育され、成長後にタマヨリヒメと結婚した。その子の一柱が、のちの神武天皇である。ホオリは海神の娘との間に皇室へ続く御子をもうけた神であり、神武天皇の祖父にあたる。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、鵜戸神宮公式サイト「ご由緒」、國學院大學 古典文化学事業「火遠理命」



海幸山幸神話を今に伝える神社
ホオリは山幸彦として知られる一方、その神話の多くは海を舞台としている。そのため、現在の神社信仰では農業や狩猟だけでなく、漁業、海上安全、大漁、航海安全などの神としても祀られている。
大隅国《おおすみのくに・現在の鹿児島県》一宮である鹿児島神宮では、彦火火出見尊の名で妻のトヨタマヒメとともに主祭神として祀られている。青島神社(宮崎県宮崎市)は、ホオリが海神の宮から帰った後に営んだ宮居の跡と伝え、ホオリ、トヨタマヒメ、海神の宮へ導いた塩筒大神の三柱を祀る。
若狭国《わかさのくに・現在の福井県》一宮の若狭彦神社では、上社にホオリを若狭彦大神として祀り、下社の若狭姫神社にトヨタマヒメを祀っている。二柱は海上安全や大漁の守護神として信仰される。また、鵜戸神宮(宮崎県日南市)では二柱の御子である鵜葺草葺不合尊を主祭神とし、ホオリも皇室へ続く祖神の一柱として祀られている。海幸山幸の物語は、南九州や若狭の海に関わる神社信仰として現在まで受け継がれているのである。

出典・参考:鹿児島神宮公式サイト「由緒について」、青島神社公式サイト「ご由緒」、若狭彦神社公式サイト「若狭國一宮 若狭彦神社について」、鵜戸神宮公式サイト「ご由緒」



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出典文献

古事記

日本書紀

先代旧事本紀

古語拾遺

神格

稲穂の神 穀物の神

ご神徳

農業守護 漁業守護 畜産業守護 商売繁盛 開運厄除 勝運招来 航海安全 縁結び 子宝 安産守護

別称・異称

火遠理命

ほおりのみこと

古事記

天津日高日子穂穂手見命

あまつひこひこほほでみのみこと

古事記

山佐知毘古

やまさちびこ

古事記

虚空津日高

そらつひこ

古事記

彦火火出見尊

ひこほほでみのみこと

日本書紀/先代旧事本紀

山幸彦

やまさちひこ

日本書紀

火夜織命

ほのよりのみこと

日本書紀

火折尊

ほのおりのみこと

日本書紀

火折彦火火出見尊

ほのおりひこほほでみのみこと

日本書紀

虚空彦

そらつひこ

日本書紀

山幸彦尊

やまさちひこのみこと

先代旧事本紀

彦火尊

ひこほのみこと

古語拾遺

天津日高彦火火出見命

あまつひこひこほほでみのみこと

その他

天津日高彦穂穂出見尊

あまつひこひこほほでみのみこと

その他

彦火火出身命

ひこほほでみのみこと

その他

彦穂穂出見命

ひこほほでみのみこと

その他

日子火火出見命

ひこほほでみのみこと

その他

日子穂穂出見命

ひこほほでみのみこと

その他

日子穂穂手見命

ひこほほでみのみこと

その他

火火出見尊

ほほでみのみこと

その他

穂穂手見命

ほほでみのみこと

その他

神様グループ

地神五代  日向三代 

祀られている主な神社

霧島神宮
(鹿児島県霧島市霧島町田口2608-5)
青島神社
(宮崎県宮崎市青島二丁目13番1号)
若狭彦神社
(福井県小浜市龍前28-7)
籠神社
(京都府宮津市大垣430)
梅宮大社
(京都府右京区梅津フケノ川町30)