クマノクスビ 神社の神様 - 神社ファン

クマノクスビ

くまのくすび

  • 神話・伝説
  • 男神・男性
クマノクスビ

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

祭神ランキング52位

  • ご神徳
  • 同一神
  • 主な神社
  • クマノクスビとは?

    クマノクスビは記紀神話に登場する男神である。『古事記』では熊野久須毘命、『日本書紀』では熊野櫲樟日命と記され、ほかに熊野忍蹈命、熊野忍隅命、熊野大角命などの異名を持つ。
    アマテラスとスサノオが互いの潔白を確かめるために行った誓約《うけい》で生まれた神である。『古事記』では、スサノオがアマテラスの右手に巻かれていた勾玉を噛み砕き、吐き出した息の霧から生まれた。アメノオシホミミ、アメノホヒ、アマツヒコネ、イクツヒコネに続く五番目の男神にあたる。スサノオによって生み出されたが、もととなった勾玉がアマテラスの持ち物であったため、アマテラスの御子とされている。
    神名のクスビは、神秘的で霊妙な神霊を意味すると考えられている。熊野については、出雲国の熊野、紀伊国の熊野、奥まった野を意味する言葉など諸説がある。出雲の熊野大社に祀られる熊野大神櫛御気野命や、熊野那智大社の熊野夫須美大神と結びつける説もあるが、同一神かどうかは明らかではない。
    記紀には誕生後の具体的な活躍は記されていない。誓約で生まれた五男三女神を祀る八王子神社のほか、熊野神社などで祀られている。

    エピソード

    誓約で生まれた五柱の男神の末神
    クマノクスビは、アマテラススサノオが行った誓約《うけい》によって生まれた神である。高天原《たかまがはら》へ昇ってきたスサノオに対し、アマテラスは国を奪うつもりではないかと疑い、武装して待ち受けた。スサノオは邪心がないことを証明するため、互いの持ち物から神を生む誓約を提案した。
    『古事記』では、スサノオがアマテラスの身につけていた勾玉を受け取り、天真名井《あめのまない》の水ですすいで噛み砕いた。吐き出した息の霧から、アメノオシホミミアメノホヒアマツヒコネイクツヒコネ、クマノクスビの五柱の男神が次々と生まれた。
    クマノクスビは、アマテラスの右手に巻かれていた珠から生まれた最後の神である。記紀では誕生後の具体的な活躍は語られていないが、天孫降臨へと続く神々とともに誓約から生まれた重要な御子神の一柱に数えられている。

    出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「熊野久須毘命」



    スサノオが生んでもアマテラスの御子
    クマノクスビは、スサノオが勾玉を噛み砕いて生んだ神である。しかし、『古事記』ではスサノオではなく、アマテラスの御子とされている。これは、神を生むために用いた持ち物の所有者を、その神の親とする考え方によるものである。
    スサノオが噛み砕いた勾玉はアマテラスの持ち物であったため、そこから生まれたクマノクスビら五柱の男神はアマテラスの御子となった。一方、アマテラスが噛み砕いた十拳剣《とつかのつるぎ》はスサノオの持ち物であったため、そこから生まれたタキリビメイチキシマヒメタギツヒメ宗像三女神はスサノオの御子とされた。
    スサノオは、自分の持ち物から心の清らかな女神が生まれたことを理由に、誓約に勝ったと宣言した。クマノクスビは、アマテラスとスサノオのどちらが親なのか一見分かりにくいが、誓約で用いられた勾玉を通じてアマテラスの御子となった神である。

    出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「熊野久須毘命」



    『日本書紀』に残るいくつもの神名
    クマノクスビは、『古事記』では熊野久須毘命《くまのくすびのみこと》と記される。『日本書紀』本文では熊野櫲樟日命《くまのくすひのみこと》とされるが、複数の一書には熊野忍蹈命《くまのおしほみのみこと》、熊野忍隅命《くまのおしすみのみこと》、熊野大角命《くまのおおすみのみこと》などの名も残されている。
    『日本書紀』の伝承によっては、誓約で生まれた順序や神々の数も異なる。熊野忍蹈命を五番目または六番目の男神とする伝承があり、すべての記述が同じ系譜に整理されているわけではない。どの神名が最も古い形に近いのかも明らかになっていない。
    これほど多くの異名が残る一方、クマノクスビ自身の具体的な事績は記紀に記されていない。そのため、誓約で生まれたアマテラスの御子という立場と、熊野を冠する神名が、クマノクスビの神格を考えるうえで重要な手がかりとなっている。

    出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、國學院大學 古典文化学事業「熊野久須毘命」



    出雲と紀伊 二つの熊野との関係
    熊野久須毘命という神名のうち、久須《くす》は神秘的で霊妙なことを表す奇《くす》し、毘《び》は神霊を意味し、クスビを奇しい神霊と解釈する説がある。熊野については地名とする説のほか、奥まった野を意味する隈野《くまの》、神饌に関係する言葉とする説などがあり、神名の由来は一つに定まっていない。
    地名とした場合には、出雲国《いずものくに・現在の島根県》の熊野と、紀伊国《きいのくに・現在の和歌山県》の熊野が候補となる。出雲の熊野大社では熊野大神櫛御気野命《くまののおおかみくしみけぬのみこと》を祀っており、この神とクマノクスビを同じ神格とみる説がある。一方、両神は神名や系譜が異なるため、別の神とする見解もある。
    また、クマノクスビを紀伊国の熊野に関係する氏族の祖神とみる説や、熊野那智大社の熊野夫須美大神《くまのふすみのおおかみ》と結びつける説も伝えられている。ただし、記紀にはクマノクスビが出雲や紀伊で活動した物語はなく、二つの熊野との関係はいずれも神名や後世の信仰から考えられた説である。

    出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、『出雲国風土記』、國學院大學 古典文化学事業「熊野久須毘命」、熊野大社公式サイト「大神様のお話」



    八王子の一柱として祀られる
    アマテラススサノオの誓約で生まれた五柱の男神と三柱の女神は、合わせて五男三女神と呼ばれる。この八柱は八王子大神としても信仰され、クマノクスビは各地の八王子神社や八王子社で、ほかの兄弟姉妹神とともに祀られている。
    神奈川県茅ヶ崎市の八王子神社では、アメノオシホミミアメノホヒアマツヒコネイクツヒコネ、クマノクスビと宗像三女神を八王子大神として祀る。長野県大町市や山梨県富士河口湖町の八王子神社でも、クマノクスビを含む五男三女神が祭神となっている。
    クマノクスビを単独または熊野の神々とともに祀る神社もある。神奈川県茅ヶ崎市小和田の熊野神社では、熊野夫須美命速玉男命、家津御子命とともに熊野久須毘命を祀る。クマノクスビは独立した神話こそ少ないものの、誓約から生まれた八柱の御子神や熊野に関わる神として、各地の神社に受け継がれている。

    出典・参考:『古事記』、神奈川県神社庁「八王子神社」「熊野神社」、長野県神社庁「八王子神社」、山梨県神社庁「八王子神社」



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    出典文献

    古事記

    日本書紀

    先代旧事本紀

    ご神徳

    ご神徳は不明です。

    別称・異称

    熊野久須毘命

    くまのくすびのみこと

    古事記

    熊野櫲樟日命

    くまのくすひのみこと

    日本書紀

    熊野大角命

    くまのおおくまのみこと

    日本書紀

    熊野忍蹈命

    くまのおしほのみこと

    日本書紀

    熊野忍隈命

    くまのおしくまのみこと

    日本書紀

    熊野予樟日命

    くまのくすひのみこと

    先代旧事本紀

    熊野久須卑命

    くまのくすひのみこと

    その他

    熊野久須日命

    くまのくすひのみこと

    その他

    熊野久須比命

    くまのくすびのみこと

    その他

    熊野久須美命

    くまのくすびのみこと

    その他

    熊野大隅命

    くまのおおくまのみこと

    その他

    熊野奇毘命

    くまのくすびのみこと

    その他

    熊野杼樟日命

    くまぬくすびのみこと

    その他

    熊野椽樟日命

    くまのくすびのみこと

    その他

    熊野楠日命

    くまのくすびのみこと

    その他

    熊野樟日命

    くまぬのくすひのみこと

    その他

    神様グループ

    五柱男子  五男三女神 

    祀られている主な神社

    神峰神社
    (茨城県日立市宮田町五丁目1番1号)
    八王子神社
    (埼玉県中央区中央区八王子1-7-11)
    八王子神社
    (神奈川県茅ヶ崎市本村4-13-40)
    八王子神社
    (岐阜県恵那市明智町明智1400番地の1)
    老津神社
    (愛知県豊橋市老津町字宮脇14番)