有名度
関脇熊野速玉大社
くまのはやたまたいしゃ
和歌山県新宮市新宮1番地
樹齢1000年を誇る御神木「梛(なぎ)」
更新日:2026年10月14日
熊野詣の人々を見守り続けた梛の大樹
熊野神宝館の向かい側、参道を挟んだ先にそびえ立つのが、熊野速玉大社の御神木「梛(なぎ)」です。熊野速玉大社の公式では樹齢約1000年、日本一の梛の大樹と紹介されており、古くから熊野権現の象徴として篤く信仰されてきました。
文化庁の資料によると、目通りの幹周は約4.5メートル。地上約3メートルのところで多数の枝に分かれ、分岐部直下では幹周約6メートルに達します。長い年月を物語るような堂々とした姿を見せ、1940年(昭和15年)には「熊野速玉神社のナギ」の名称で国の天然記念物に指定されました。

梛は熊野詣とも深い関わりを持っています。かつて熊野を訪れた人々は、熊野牛王神符とともに梛の葉を懐に納め、険しい熊野参詣の道中安全を祈りました。無事に参詣を終えると、神々の加護を受けた証として梛の葉を大切に持ち帰ったといいます。
後鳥羽上皇の熊野御幸に随行した歌人・藤原定家も、梛の葉を題材にした歌を残しています。
「千早ふる 熊野の宮のなぎの葉を 変わらぬ千代のためしにぞ折る」
熊野参詣と梛の葉との深い結びつきを現在に伝える一首です。
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夫婦円満や縁結びの象徴となった「切れない葉」
梛は、その名が風がやんで海が穏やかになる「凪(なぎ)」に通じることから、現世安穏や海上安全のご利益があるとされてきました。さらに特徴的なのが、夫婦円満や縁結びの信仰です。
梛の葉には縦方向に細かな葉脈が走り、引っ張っても簡単には切れません。その丈夫さから「縁が切れない」に通じる縁起のよい葉とされ、夫婦や男女の縁が末永く続くよう願われてきました。
かつては、嫁ぐ娘の鏡などの嫁入り道具に梛の葉を忍ばせ、新たな生活の幸せを願う風習もあったと伝えられています。
また、梛の葉は表と裏の見た目がよく似ていることから、夫婦で持つと「裏表のない夫婦」でいられるとも信じられてきました。源頼朝と北条政子も、変わらぬ縁を願って梛の葉を一枚ずつ大切に持っていたという伝承が残されています。

現在も御神木の梛は熊野速玉大社を象徴する存在として大切にされ、その祈りは現代へと受け継がれています。
1972年(昭和47年)の沖縄本土復帰の際には、香川県の植木職人・山地義一氏が熊野速玉大社の御神木から500本の梛の苗を種から育て、沖縄県内の学校へ植樹しました。現在、熊野速玉大社では梛を「世界平和の木」とする取り組みも行われています。
熊野詣の旅人を守った木から、夫婦や大切な人との縁を結ぶ木、そして平和を願う木へ。千年近い時を経た現在も、梛には人々のさまざまな祈りが託され続けています。
御神木「梛」にちなんだお守り
熊野速玉大社では、御神木の梛にちなんだ授与品も用意されています。「梛人形」は、梛の実を使って男女一対の人形を表した熊野速玉大社ならではの授与品です。梛に込められてきた縁結びや夫婦円満の信仰にちなみ、家内安全や良縁を願う授与品として親しまれています。
また、御神木の梛にちなんだ「熊野権現なぎまもり」も授与されています。現在は梛の「葉」と「実」にちなんだなぎまもりが用意されており、古くから熊野詣の人々が梛の葉を道中安全のお守りとして携えた信仰を今に伝えています。
熊野速玉大社を訪れた際には、御神木そのものを仰ぎ見るだけでなく、千年近くにわたって梛に託されてきた祈りにも触れてみてください。

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