有名度
関脇豊国神社
とよくにじんじゃ
京都府京都市東山区大和大路正面茶屋町530
宝物館
更新日:2026年7月13日
秀吉ゆかりのお宝が並ぶ宝物館
豊國神社の境内南東には、豊臣秀吉や豊臣家にまつわる貴重な文化財を収蔵・公開する宝物館があります。

重要文化財の鉄燈籠「雲龍燈籠」
宝物館へ入って正面に見えるのが、重要文化財に指定されている鉄燈籠です。高さ約3メートルに及ぶ大型の燈籠で、南蛮鉄を用いて造られたとされています。その大きさと重厚な姿は迫力があり、宝物館を代表する収蔵品の一つです。灯火を入れる火袋には月や鳥などの文様が透かし彫りで表され、支柱には雲の間を龍が昇るような意匠が施されています。この雲と龍の文様から、鉄燈籠は「雲龍燈籠(うんりゅうとうろう)」とも呼ばれています。大型の鉄製品でありながら、細部には繊細な装飾が施されており、実用の燈籠であると同時に優れた金工作品としても見応えがあります。
銘文には「奉寄進鉄燈籠 慶長五庚子年八月十八日 天下一釜大工与二郎實久鋳之」と記されています。慶長5年は1600年にあたり、豊臣秀吉の三回忌に際して豊国廟へ奉納されたものです。1615年(元和元年)に豊国社が廃絶された後は妙法院へ移され、明治時代に豊國神社が再興されると、再び神社へ奉納されました。
作者は、豊臣秀吉に仕えた釜師として知られる辻与二郎実久です。千利休が用いた茶釜も手がけたとされ、秀吉から「天下一」の称号を許された名工でした。作品に作者名が刻まれた鉄燈籠は珍しく、銘文から制作年代と作者を確認できる点でも貴重です。1973年(昭和48年)6月には、近世金工史を代表する遺例として重要文化財に指定されました。

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豊国祭の熱気を伝える豊国祭礼図屏風
館内でも特に注目したい作品が、重要文化財の「豊国祭礼図屏風」です。豊臣秀吉の七回忌にあたる1604年(慶長9年)、豊國神社で盛大に催された豊国大祭礼の様子を描いた屏風で、狩野内膳の筆による作品です。画面には、華やかな衣装をまとった人々や行列、踊り、見物客などが細かく描き込まれ、当時の祭礼の賑わいを生き生きと伝えています。また、かつて豊國神社周辺に存在した広大な社地や、奈良・東大寺の大仏をしのぐ規模とされた方広寺大仏殿の姿も描かれており、失われた豊臣時代の京都を知るための貴重な歴史資料でもあります。
数多くの人物が異なる表情や動きで描かれているため、近くで細部を眺めると、祭礼に集まった人々の熱気や当時の風俗まで読み取ることができます。歴史資料としての価値だけでなく、桃山時代の華麗な文化を伝える絵画作品としても見応えがあります。

桐鳳凰紋蒔絵唐櫃
重要文化財の「桐鳳凰紋蒔絵唐櫃(きりほうおうもんまきえからびつ)」も、豊臣家の栄華を伝える宝物です。秀吉が生前に使用したと伝えられる唐櫃で、表面には豊臣家を象徴する桐紋や鳳凰が蒔絵で華やかに表されています。黒漆の地に金色の文様が浮かび上がる豪華な意匠からは、華麗な桃山文化と天下人・秀吉の美意識を感じることができます。収納道具としての実用性だけでなく、優れた漆工芸品としても価値の高い作品です。
天下の名刀・骨喰藤四郎
宝物館には、重要文化財の名刀「薙刀直シ刀 無銘 吉光」、通称「骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)」も収蔵されています。鎌倉時代の刀工・粟田口吉光の作とされ、もとは薙刀であったものを後世に刀へと仕立て直した薙刀直しの刀です。「骨喰」という名は、斬る真似をしただけでも相手の骨を砕くほどの威力を持っていたという伝承に由来します。足利将軍家や大友氏、豊臣家、徳川将軍家などへ受け継がれたとされ、数々の武将の手を渡った由緒ある刀として知られています。
大坂城の落城後に一時行方が分からなくなったものの、その後発見されて徳川家へ渡り、明治時代に豊國神社へ奉納されました。刀剣としての美しさに加え、武家社会の歴史を背負った伝来も大きな見どころです。展示状況は時期によって異なる場合があります。

豊臣秀吉公の御歯
館内には、豊臣秀吉本人のものと伝えられる「豊公御歯」も収蔵されています。秀吉が生前に抜けた歯を家臣へ与えたものとされ、天下人の身体に直接由来する極めて珍しい資料です。豪華な美術工芸品や名刀とは異なり、一人の人物としての秀吉を身近に感じさせる宝物であり、宝物館を訪れた際に注目したい収蔵品の一つです。このほかにも、秀吉や豊臣家、桃山文化に関係する書画や工芸品などが公開されています。
豊國神社の宝物館は、国宝・唐門や社殿を眺めるだけでは分からない豊臣家の歴史を、実物の文化財を通して知ることができる場所です。豊臣秀吉ゆかりの品々を間近で見学できる、参拝とあわせて訪れたい見どころとなっています。
【開館時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【休館日】無休
【入館料】大人・大学生・高校生500円、小学生・中学生300円

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