有名度
関脇小國神社
おくにじんじゃ
静岡県周智郡森町一宮3956-1
小國神社の田遊び
更新日:2025年7月16日
その年の豊作を祈願する予祝神事
小國神社では、毎年1月3日午後1時から田遊祭が執り行われます。田遊祭とは、新年にその年の豊作を祈願し、田作りから刈り入れまでの稲作課程を模擬的に演じてみせる予祝神事のことです。歴史は古く鎌倉時代中期に始まったと伝えられており、天下泰平・五穀豊穣・家畜安全を祈願していると言われています。2007年3月7日に国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択されました。

言霊の霊力を主とする演目
田遊祭は、大太鼓を田と見立て「素鍬 」「畦塗り」「代かき牛」「苗草寄せ」「苗草蒔き」「苗草踏み」「種蒔き」「祝詞」「苗賛め」「世などよう」「鳥追い」「歌おろし」の12段の演目が進行します。また所作よりも詩章である唱え言が中心であり「言霊の霊力による予祝讃美を主としている」と考えられています。最初の演目は素鍬 (しろくわ)です。
演者全員が舞台中央にある太鼓を囲み、太鼓の上に置かれている小桶を柳の小枝でたたきます。太鼓は田に、小枝は鍬に見立てられており、動作は田打ちを表しているそうです。「あら楽しきょうの楽しさよ古えもかくや楽しさよ 田を作れ」と唱え演じます。
2番は畦塗り(あぜぬり)です。演者2人によって、扇子を鍬に見立てあぜ作りの所作をします。その際、前後に動きながら「是は小國大明神の畦塗りまする苗代しまする」と唱えます。次いで除魔招福の呪文を唱えるそうです。
3番は代かき牛(しろかきうし)です。演者3人によって扇子で牛を洗う様を演じ、除魔招福を唱えます。
4番は苗草寄せです。演者3人によって行われる演目で、榊の葉を苗草に見立てて行います。舞台中央には演者が2人おり1人が大声で叫ぶと、控えていた1人が山から良い苗草を採って出てきます。言葉の掛け合いが面白い演目ですが、実は以前は掛け合い自体がなかったそうです。
5番は苗草蒔き(なえくさまき)です。苗草寄せとセットの演目で、2人が苗草に見立てた榊を受け取り、その葉をもぎ取って撒き散らしながら「金の小草に銀のにわとこ野辺に咲くは藤の葉」と唱えます。
6番は苗草踏み(なえくさふみ)です。演者3人による演目です。まず2人が「やン苗草踏もうよ」と唱えながら、先ほど撒いた肥草を田に踏み込みます。すると、もう1人が小鼓を肩に担ぎながら「さン苗草踏もうよ」と応じます。後者は「六権兵衛ばやし」とも言われているそうです。
7番は種蒔きです。2人の演者によって行われる演目で、1人が籾の入った小桶をかかえ、もう1人が牛王を持って舞台の中央で種を蒔く様子を演じます。
牛王とは、三角形に折った白い紙を120センチほどの青竹に挟み、麻ひもで結んだものです。紙には「卯 一宮 牛王」と書かれており、神の依り代としての意味合いがあります。
8番は祝詞です。「田遊祭を行うのは、五穀成就、天長地久、国民豊饒を予言するためである」と祝詞役が神前に向かって祝詞を奏上します。
9番は苗賛め(なえほめ)です。2人の演者によって行われる演目で、牛役が舞台中央に置かれている太鼓に両手を突き、うつ伏せになります。その周りを、牛王を持った者がまわりながら、詞章を唱えます。
10番は世などよう(よなどよう)です。演者2人が水口に立ち田を見回しながら、稲をはじめどの作物も豊かに実ったという内容の詞章を唱えます。
11番は鳥追いです。所作は1番の演目である素鍬と同じです。演者全員が舞台申央に置かれた太鼓を取り囲み、その上に置かれた小桶の縁を小枝でたたきます。種蒔きから刈り入れまでに害があるものをあげて、これを追い払わねば豊作の年にならないと謡います。昔の農民が、どのようなものを害と考えていたのかがわかる、貴重な演目です。
12番は歌おろしです。まずは演者全員が本殿に向かって座り「歌おろし」の詩章を唱えます。1人が「福ある田によの 地ぐわらこを得てよの ものよき日にの さおりをしようとてよの」と謡い、小國大明神をはじめとした神々に対し「礼々何候よ」と感謝を捧げます。最後に「京から下るちょうふしくろの稲よの 稲なら三把に、米は八石 やらめでたし」と謡いおさめをし、これにて12演目すべてが終了となるそうです。
農民がその年の豊作を願う気持ちが込められた田遊祭、ぜひ訪れてみてください。
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