有名度
関脇小國神社
おくにじんじゃ
静岡県周智郡森町一宮3956-1
縁結びのひょうの木
更新日:2026年9月22日
森町の天然記念物
参集殿の裏手には、「ひょうの木」と呼ばれる小國神社の御神木があります。正式にはイスノキというマンサク科の常緑高木で、小國神社のひょうの木は樹齢800余年と伝わる古木です。平成16年(2004)には森町の天然記念物に指定されています。
「ひょうの木」という少し変わった名前は、葉にできる「ひょうの実」に由来します。
実と呼ばれていますが、正確にはイスノキの葉にできる虫こぶです。成長すると木質化して内部が空洞になり、小さな穴が開きます。この穴に息を吹き込むと笛のように「ひょう」と音が鳴ることから、ひょうの実、ひょうの木と呼ばれるようになりました。
小國神社のひょうの木は、その姿にも特徴があります。長い年月を重ねた木の外皮が大きくうねり、互いに交わるようにしながら二本の幹へと分かれています。

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さまざまな縁を結ぶ御神木
ひょうの木には、小國神社の御祭神・大己貴命にまつわる縁結びの伝承があります。大己貴命がひょうの実を吹いたところ、その美しい音色に心を動かされた女神が現れ、二柱は契りを結んだと伝えられています。
この伝承から、ひょうの木は小國神社の「縁結びの御神木」として信仰されてきました。ここでいう縁結びは男女の縁だけではありません。恋愛をはじめ、人間関係や仕事など、さまざまな良縁を結ぶ御神木として信仰されており、近年では特に若い女性の参拝も多く見られます。
小國神社では、この伝承にちなんだ「ひょうの実守り」も奉製されています。
御神木のひょうの実を忠実に再現したお守りで、大己貴命と女神の縁を結んだと伝わるひょうの実をかたどっています。縁結びの御神木を参拝したあとには、授与所で探してみるのもいいでしょう。
また、御神木を訪れた際には幹だけでなく葉にも注目です。時期や状態によっては、ひょうの木という名前の由来となった虫こぶを見ることができます。
「ひょうの木」は古代の櫛にもつながる木
ひょうの木の正式な名前である「イスノキ」には、もうひとつ興味深い話があります。イスノキという名前は、『古事記』の黄泉国の物語に登場する「湯津津間櫛(ゆつつまぐし)」の「ゆつ」に由来するといわれています。
伊邪那岐命が黄泉国から逃げ帰る場面では、追ってくる黄泉醜女から逃れるため、髪に挿していた湯津津間櫛の歯を折って投げると筍が生え、黄泉醜女がそれを食べている間に逃げたと記されています。
「ゆつ」は神聖なものを表す言葉とされ、「ユツノキ」が「ユスノキ」となり、さらに「イスノキ」へ変化したと伝えられています。
イスノキと櫛の関係は名前だけではありません。
イスノキは非常に硬く緻密な木材で、古くから櫛の材料として利用されてきました。宮中で使用される櫛を作る重要な材料でもあり、古代の遺跡からもイスノキ製の櫛が確認されています。

縁結びの伝承を持つ樹齢800余年の御神木、吹くと音が鳴る不思議なひょうの実、そして古代から続く櫛との関わり。ひょうの木は、一本の御神木からいくつもの物語をたどることができる、小國神社ならではの見どころです。
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