桜田烈士愛宕山遺跡碑・起倒流拳灋碑・殉皇十二烈士女之碑・弔魂碑 | 愛宕神社 - 神社ファン

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桜田烈士愛宕山遺跡碑・起倒流拳灋碑・殉皇十二烈士女之碑・弔魂碑

更新日:2026年5月20日

桜田烈士愛宕山遺跡碑

桜田烈士愛宕山遺跡碑は、愛宕神社境内の拝殿に向かって右手奥、山の上の茶屋の先に建てられている歴史碑です。木々に囲まれた静かな場所にあり、愛宕神社に残る幕末史ゆかりの石碑として知られています。
この碑は、幕末の大事件として知られる「桜田門外の変」に関係する史跡です。1860(安政7)年3月3日、水戸藩浪士を中心とした18名が、江戸城桜田門外で大老・井伊直弼を暗殺する「桜田門外の変」を決行しました。彼らは決起前に愛宕神社へ集結し、神前で成功祈願を行った後、桜田門へ向かったと伝えられています。
現在の石碑は1941(昭和16)年に建立されたもので、正式には「桜田烈士愛宕山勢揃遺跡記念碑」とも呼ばれています。書は当時の東京市長・大久保留次郎氏によるもので、碑の側面や裏面には、碑を建立した人々の名のほか、「桜田門外の変」の経緯や18名の名が刻まれています。
碑文には、関鉄之介、有村次左衛門、斎藤監物ら、桜田門外の変に関わった志士たちの名前が記されており、この決起が「三百年の幕府政治を倒壊させ、皇政維新へつながる導火線となった」と刻まれています。戦前に建立された碑らしく、当時の顕彰意識を色濃く残している点も特徴です。
愛宕山は江戸の町を一望できる高台であり、幕末の志士たちにとっても象徴的な場所でした。現在でも境内には、桜田烈士愛宕山遺跡碑をはじめ、近代史に関わる石碑が複数残されており、愛宕神社が「出世の石段」だけではない、歴史の舞台であったことを今に伝えています。
港区愛宕神社 桜田烈士愛宕山遺跡碑

起倒流拳灋碑

桜田烈士愛宕山遺跡碑の隣には、起倒流拳灋碑(きとうりゅうけんぽうひ)が建てられています。1779(安永8)年に起倒流の門弟たちによって建立された石碑で、現存する古武術関係の碑としても貴重な存在です。
起倒流は、江戸時代初期に成立した古流柔術の一派で、柔道や合気道の源流のひとつともいわれています。碑文には「拳法之有伝也、自投化明人陳元贇而始」と刻まれており、中国・明から渡来した陳元贇(ちんげんぴん)が拳法を伝えたことが起源とされています。
その後、福野氏によって「起倒流」の名が生まれ、寺田氏によって体系化されたと伝えられています。起倒流は、古流柔術のなかでも特に「投げ」の理論を重視した流派として知られ、後世の武道にも大きな影響を与えました。嘉納治五郎が創始した講道館柔道にも、起倒流の理合が取り入れられていることで知られています。
愛宕神社にこの碑が建てられた背景には、愛宕山が江戸時代の武士たちにとって、信仰と武芸の場であったことが関係しています。愛宕神社は火伏せの神として知られる一方、「勝利の神」「出世の神」としても信仰され、多くの武芸者や武士たちが参拝していました。そのため境内には、幕末関係の碑や慰霊碑など、武道・武士文化に関わる石碑が数多く残されています。
港区愛宕神社 起倒流拳灋碑

殉皇十二烈士女之碑・弔魂碑

殉皇十二烈士女之碑・弔魂碑は、愛宕神社境内に建てられている慰霊碑です。将軍梅の近く、御社殿横に並んで建てられており、愛宕神社に残る戦争遺跡・歴史碑のひとつとして知られています。
港区愛宕神社 殉皇十二烈士女之碑
この碑は、1945(昭和20)年8月に起きた「愛宕山事件」の犠牲者を慰霊するために建立されました。終戦を受け入れるポツダム宣言受諾に反対した民間団体「尊攘同志会」のメンバーらが、徹底抗戦を訴えて決起し、内大臣・木戸幸一邸襲撃を試みた後、愛宕山に立てこもった事件です。
愛宕山に籠城した一行は、抗戦派軍人らの決起を期待していましたが、警察に包囲され、1945(昭和20)年8月22日、「天皇陛下万歳」を叫びながら手榴弾で自決したと伝えられています。このとき10名が死亡し、さらに5日後、同じ場所で夫人2名が後を追って自決しました。これら12名を慰霊する碑として、「殉皇十二烈士女之碑」と「弔魂碑」が建てられています。
港区愛宕神社 弔魂碑
「殉皇十二烈士女之碑」の“殉皇”とは、「天皇のために命を捧げる」という意味を持つ言葉です。一方の弔魂碑には、愛宕山事件の経緯が碑文として刻まれており、現在でも現地で読むことができます。碑文には、終戦決定に反対して決起したこと、愛宕山で籠城したこと、そして手榴弾による自決の様子などが記されています。
愛宕山事件は、終戦直後の混乱した時代を象徴する出来事のひとつであり、殉皇十二烈士女之碑・弔魂碑は、その歴史を今に伝える存在として愛宕神社境内に残されています。

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