北辰の梟・お元気三猿・つなぎの龍・子育ての虎 | 秩父神社 - 神社ファン

有名度

関脇

秩父神社

ちちぶじんじゃ

埼玉県秩父市番場町1-3

北辰の梟・お元気三猿・つなぎの龍・子育ての虎

更新日:2026年3月3日

秩父神社の社殿を彩る彫刻は、江戸初期の匠の技を今に伝える見どころとして知られています。本殿・幣殿・拝殿が一体となった権現造の社殿には、建物の各所に精緻な彫刻が施され、その一つ一つに物語や願いが込められています。なかでも有名なのが、「北辰の梟」「お元気三猿」「つなぎの龍」「子育ての虎」の四つの彫刻です。それぞれが秩父神社を象徴する意匠として語り継がれ、参拝者の目を引く存在となっています。

北辰の梟

御本殿北側中央に彫刻されているのが「北辰の梟」です。体は正面の御本殿に向けながら、頭だけを北へ振り返る独特の姿をしており、「見返り美人」の浮世絵を思わせる造形が印象的です。真北を見据える姿で御祭神を守る存在とされています。
秩父神社 北辰の梟の彫刻
秩父神社の御祭神の一柱である妙見様、すなわち天之御中主神は、北辰北斗、すなわち北極星信仰と深く結びつく神です。北辰は天の中心を示す星として古来崇敬されてきました。梟が真北を向いているのは、この妙見信仰に由来するとされ、妙見様と縁の深い瑞鳥と考えられています。梟が見つめる方角に妙見様が出現するといわれる伝承もあります。
秩父神社 北辰の梟の彫刻アップ
また、梟は縁起の良い鳥とされ、「福を呼ぶ」「苦労を除く」といった語呂合わせでも親しまれてきました。夜目が利き、首がよく回ることから、先を見通す知恵や頭の回転の象徴ともいわれます。秩父神社の北辰の梟は、こうした吉祥の意味と妙見信仰が重なり合った象徴的な彫刻として、社殿を彩っています。

お元気三猿

御本殿西側に彫られているのが「お元気三猿」です。三猿といえば日光東照宮の「見ざる・言わざる・聞かざる」が広く知られていますが、秩父神社の三猿はそれとは対照的に、「よく見て・よく聞いて・よく話す」姿で表現されているのが大きな特徴です。
秩父神社 お元気三猿の彫刻
同じく徳川家ゆかりの社でありながら日光とはまったく異なる表情をもつ三猿であることが紹介され、庚申信仰に基づく教訓的な三猿とは違う意味をもつ存在として位置づけられています。「お元気三猿」と呼ばれるゆえんは、その前向きで開かれた姿勢にあります。
秩父神社 お元気三猿の彫刻アップ
この彫刻は、悪いものを避けるという消極的な教えではなく、目を開いて物事を見極め、耳を澄ませてよく聞き、言葉を交わして伝え合うという積極的な生き方を象徴する意匠として読み解くことができます。秩父神社の彫刻群の中でも、思想の違いをはっきりと感じさせる印象的な一作です。

つなぎの龍

御本殿東側に彫られているのが「つなぎの龍」です。名工・左甚五郎の作とも伝えられるこの彫刻は、龍の首に実際の鎖が巻き付いているように見えることから、その名で親しまれています。秩父神社の彫刻群の中でも特に人気の高い意匠です。
秩父神社 つなぎの龍の彫刻
伝説によれば、かつて秩父観音霊場札所十五番・少林寺近くの天ヶ池に龍が棲みつき、暴れるたびに周囲の田畑を荒らして村人を困らせていました。そして龍が姿を現すと、不思議なことに本殿東側の龍の彫刻の下に水たまりができたといいます。そこでこの龍を鎖で本殿につなぎ止めたところ、以後、龍は現れなくなったと伝えられています。
秩父神社 つなぎの龍の彫刻アップ
また、この龍は本殿東北(表鬼門)を守護する青龍の象徴とも考えられています。青龍は四神の一つとして方位を守る存在であり、秩父神社では東北を守る守護の象徴として「つなぎの龍」が位置づけられています。伝説と方位信仰が重なり合う、秩父神社を代表する彫刻の一つです。

子育ての虎

秩父神社の「子育ての虎(子宝・子育ての虎)」は、御本殿・拝殿正面に施された彫刻の中でもとくに人気の高い意匠です。拝殿正面左側から二つ目に位置し、親虎が子虎を見守りながら戯れる姿が生き生きと彫り出されています。名工・左甚五郎の作と伝えられ、徳川家康ゆかりの社殿彫刻を象徴する一つとして語り継がれています。
秩父神社 子育ての虎の彫刻
この彫刻が「子育ての虎」と呼ばれるのは、子育てや子宝への願いを象徴する姿であることによります。親虎と子虎の情景は、子どもの健やかな成長や家族の幸福を願う心と重ねられてきました。また、「赤子には肌を離すな」「幼児には手を離すな」「子どもには目を離すな」「若者には心を離すな」という親の心得を伝えるものとしても紹介されています。
秩父神社 子育ての虎の彫刻アップ
御社殿の四方には虎の彫刻が施されていますが、なかでもこの虎は、徳川家康公の威厳を象徴し、御祭神を守護する神使としての意味も込められていると伝えられます。徳川家康が寅年・寅の日・寅の刻の生まれであったことにちなむともいわれ、信仰と歴史が重なり合う象徴的な彫刻となっています。

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