有名度
関脇大洗磯前神社
おおあらいいそさきじんじゃ
茨城県東茨城郡大洗町磯浜町6890番地
随神門
更新日:2026年10月20日
神域を守護する門
参道の石段を上りきり、三の鳥居をくぐった先には随神門が建ちます。切妻造の建築様式で屋根は銅板葺、桁行三間、梁間二間の大きさです。両脇には、神域を守護する随神が鎮座しています。現在の随神門は、本殿や拝殿とともに水戸藩2代藩主・徳川光圀の命によって造営が始まり、3代藩主・徳川綱條の時代、1730年(享保15年)に竣工しました。戦国時代の兵乱によって社殿を失った大洗磯前神社が、水戸徳川家の崇敬を受けて再興された時代の建築です。
随神門は1987年(昭和62年)5月1日、大洗町の町指定文化財に指定されました。本殿・拝殿が茨城県指定文化財となっているのに対し、随神門は町指定文化財として保存されています。約300年前の大洗磯前神社再興時の姿を現在に伝える貴重な建造物です。
門の両脇に安置されている随神は、神社の門を守る神さまです。寺院の山門で仁王像が門を守るように、神社では随神像を左右に安置した門を見ることがあります。随神門を通るということは、ここからさらに御祭神の鎮座する中心部へと入っていくことでもあります。

この狛犬は、昔から現在の場所に置かれていたわけではありません。大洗磯前神社に残る明治20年(1887)頃の境内図を見ると、当時は拝殿前に安置されていました。しかも現在とは異なり、しっかりと色が塗られていたことも確認できます。その後、現在の随神門前へと場所を移しました。


ウサギだけでなく、門の正面や妻などをよく観察すると、鳥や植物をはじめとしたさまざまな意匠を見つけることができます。大きな随神門全体を眺めるだけでは気づきにくいため、少し離れて建物全体を見た後、門の近くから細部を探してみるのがおすすめです。

随神門の彫刻は、部品を別々に作って組み合わせたものではありません。一本の木から模様の間をくり抜き、立体的な造形を彫り上げた「透かし彫り」です。細かな部分まで一体の木材から作り出しており、約300年前の職人の技術を間近で見ることができます。
大洗磯前神社では、徳川光圀の命によって建設が始まったことから、「腕の立つ職人が集められたかもしれません」と紹介しています。本殿や拝殿にも見事な彫刻が残されているので、随神門から社殿へ進みながら、それぞれの彫刻を見比べてみるのも面白いでしょう。
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撫でて福をいただく大黒さまと恵比寿さま
門の手前には、木彫りの大黒さまと恵比寿さまが並んでいます。どちらも大洗磯前神社の大神さまで、撫でることで福をいただけるといわれています。御祭神の大己貴命は「だいこく様」とも呼ばれ、慈悲深く福徳を授ける神として崇敬されてきました。大己貴命は大国主神の別名でもあり、国造りや縁結び、福徳など幅広い信仰を集めています。
もう一柱の御祭神・少彦名命は、大己貴命とともに国造りを行った神です。特に医薬との関係が深く、大洗磯前神社では「医薬の神様」として信仰されています。
大洗磯前神社の創建を伝える『日本文徳天皇実録』によれば、二柱の神が降臨した時代は天然痘の流行や飢饉に苦しめられた時代でした。神社では、医薬の神が「今、民を救わんがために、また帰り来たれり」と告げて降臨したことから、人々を災いから救うために二神が現れたと考えています。

同じ備前焼の狛犬が安置されている「常磐神社」
大洗磯前神社と同じ備前焼の狛犬が、水戸市の常磐神社にも奉納されています。大洗磯前神社の公式サイトでも、同じ狛犬が常磐神社に奉納されていることが紹介されています。常磐神社は、水戸藩2代藩主・徳川光圀と9代藩主・徳川斉昭を祀る神社です。光圀はテレビドラマ「水戸黄門」のモデルとして広く知られていますが、大洗磯前神社にとっても非常に重要な人物です。戦国時代の兵乱によって荒廃していた大洗磯前神社の再興を進め、現在まで残る本殿・拝殿・随神門の造営を命じたのが光圀でした。常磐神社の狛犬が納められたのは1875年(明治8年)のこと。伊能林兵衛と伊能新兵衛が願主となり、64名の崇敬者によって寄進されました。奉納式では太々神楽が盛大に催されたと伝わります。
大洗磯前神社と常磐神社は、徳川光圀という人物だけでなく、珍しい備前焼の狛犬でもつながっています。水戸と大洗の両社を訪れる機会があれば、二組の狛犬を見比べてみるのも面白いでしょう。

石段を上りきって随神門へ到着したら、すぐに拝殿へ向かわず、まずは門の前で足を止めてみてください。正面から建物全体を眺め、備前焼の狛犬を見て、最後に頭上の彫刻を探しながら門をくぐると、随神門をより深く楽しめます。
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