大鳥居
現在建っている大鳥居は、2016年10月に完成したもので、高さは約10mあります。構造は鉄骨造りで、表面は「笠間朱色」と呼ばれる赤系の色彩で塗装されています。この笠間朱色は、門前通りを含めた周辺景観の整備方針にあわせて採用された色で、社殿との調和を強く意識したものです。
この大鳥居が建立される以前、参道入口には1990年に建てられた御影石製の大鳥居が存在していました。使用されていた石材は、笠間市周辺で産出する稲田石で、高さは約8mとされています。しかし、この旧大鳥居は2010年10月、小規模な地震などの影響により中貫の一部が落下し、安全上の理由から撤去されました。そのため、東日本大震災が発生した2011年以前から、笠間稲荷神社の参道には大鳥居がない状態が続いていました。
市井の人(Wikipedia CC 表示-継承 4.0)
大鳥居の再建は2016年3月に着工されました。再建にあたっては、参拝者の安全性や耐久性、将来的な維持管理のしやすさなどが考慮され、石造ではなく鉄骨造が採用されています。工事費用は約9,000万円とされ、その多くは全国から寄せられた浄財によって賄われました。新しい大鳥居の完成は、長年鳥居のない状態を見てきた地元関係者や参拝者にとって、大きな節目となる出来事でした。
現在の大鳥居は、門前通りに面した参道の入口に建てられており、門前町のにぎわいから神域へと気持ちを切り替える起点として、重要な役割を果たしています。参拝の際には、その高さや色合いだけでなく、再建に至るまでの経緯にも思いを巡らせながら見上げてみると、より深く笠間稲荷神社の魅力を感じることができます。
また、この大鳥居に掲げられている扁額は、中臣鹿島連東男(なかとみ・かしまのむらじ・はるお)の揮毫によるものです。中臣鹿島連東男は、古代より朝廷祭祀を司ってきた中臣氏の名跡を称する神職で、鹿島神宮を中心とする鹿島神道の系譜に連なる家系とされています。「中臣」「鹿島連」という姓は、朝廷の祭祀と鹿島の神事に深く関わってきた氏族的背景を示すものであり、神社の社号額や扁額の揮毫者としてふさわしい由緒を備えた存在といえるでしょう。