金山彦神 神社の神様 - 神社ファン

金山彦神

かなやまひこのかみ

  • 神話・伝説
  • 男神・男性
カナヤマヒコノカミ

玉蘭斎貞秀(神佛図會)

カナヤマヒコノカミ

歌川國貞

祭神ランキング42位

金山彦神とは?

金山彦神は記紀神話などに登場する男神である。古事記では金山毘古神、日本書紀では金山彦と記される。神産みの段において、イザナミが火の神カグツチを産んで陰部を焼かれ、病み伏した際、その嘔吐物から生まれた神である。古事記では同時に女神のカナヤマヒメノカミが生まれているが、日本書紀神代巻第五段の一書第四では金山彦のみが生まれたとされる。
神名の「金山」は鉱山を意味すると考えられ、古くから鉱山や金属に関係する神として信仰されてきた。イザナミの嘔吐物から生まれたことについては、鉱石を火で溶かした状態との関係を指摘する説のほか、火山活動や古代の製鉄・冶金などとの関係を考える説がある。後世には鉱山だけでなく、鍛冶、製鉄、鋳物など金属を扱う産業を広く守護する神として崇敬を集めるようになった。
製鉄の神として著名な金屋子神とも深い関係を持ち、後世の信仰では金山彦神やカナヤマヒメノカミと同一視・関連づけられることがある。ただし、記紀には金山彦神と金屋子神の親子関係などは記されておらず、それぞれの信仰の成立過程は区別して考える必要がある。また金屋子神の信仰には、婦人病や下半身の病の治癒、安産などを祈願する例も見られ、製鉄の守護だけにとどまらない神徳が伝えられている。
金山彦神を金山彦大神として主祭神に祀る南宮大社(岐阜県不破郡垂井町)は美濃国一宮で、鉱山や金属に関係する人々から厚い崇敬を受けてきた。こうした金属信仰は時代とともに広がり、鉱業、製鉄、鍛冶、鋳物をはじめ、金属を扱うさまざまな産業の守護神として信仰されている。
金山彦神には金属工業守護、鉱業守護、商売繁盛、開運招福などのご利益があるとされる。また金屋子神と重なる信仰の中では、下半身治癒や安産なども祈願されてきた。南宮大社のほか、全国の金山神社、御金神社(京都府京都市)、黄金山神社(宮城県石巻市)などで祀られている。

エピソード

イザナミの嘔吐から生まれた鉱山の神
『古事記』では、イザナミが火の神カグツチを産んだ際、陰部を焼かれて病に伏したとされる。その嘔吐物から生まれたのが金山毘古神《かなやまびこのかみ》であり、続いて対となる女神の金山毘売神《かなやまびめのかみ》が生まれた。
『日本書紀』では、本文ではなく神代巻第五段の一書第四に同様の伝承がある。イザナミが火神を産んで苦しみ、嘔吐したものが金山彦になったと記されるが、こちらには金山毘売神は登場しない。男女一対の鉱山神として描かれるのは『古事記』の特徴である。
神名にある「金山」は、一般に金属を産出する鉱山を表すと考えられている。嘔吐物から生まれた理由については、鉱石が火によって溶けて流れる様子との類似や、鉱石が火の力で金属へ変化することを表したものとする説がある。ただし、これは原典に説明された由来ではなく、後世の研究による解釈である。こうした誕生神話を背景として、金山彦神は鉱山・製鉄・鍛冶・金属加工を守る神として信仰されてきた。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』神代巻第五段一書第四、國學院大學「古事記神名データベース・金山毘古神」




鉱山・金属業の総本宮に祀られる金山彦大神
岐阜県不破郡垂井町に鎮座する南宮大社は、金山彦神を金山彦大神として主祭神に祀る美濃国《みののくに・現在の岐阜県》一宮である。鉱山や金属をつかさどる神を祀ることから、全国の鉱山・金属業の総本宮として、製鉄・鉄鋼・鋳物・鍛冶などに携わる人々の信仰を集めてきた。
南宮大社では、イザナミが火神を産んだ際に生まれた金山彦大神の姿が、溶けて流れる鉄に似ていたため、鉄鉱や鉱山の神として崇敬されるようになったと伝えている。境内には鍬や鎌などの金属製品を取り付けた「金物絵馬」が奉納され、宝物にも刀剣類が多い。神話上の鉱山神としての性格が、実際の金属業者による信仰へ結びついていることが分かる。
毎年行われる金山大祭では、製鉄や鍛冶に欠かせない鞴《ふいご》にちなむ神事が執り行われる。金山彦神は、鉱石を採る鉱山だけでなく、火を用いて金属を生み出し、道具へ加工する仕事全体を守る神として現在も祀られている。

出典・参考:南宮大社公式サイト「歴史」「刀剣」「金物絵馬」「祭事」、垂井町観光協会「南宮大社」



八咫烏を助けたという南宮大社の伝承
南宮大社の社伝では、金山彦大神は神武天皇の東征に際し、八咫烏《やたがらす》を助けて大いに神威を現したと伝えられている。その働きによって美濃国不破郡の府中に祀られ、のちに崇神天皇の時代に現在の鎮座地へ遷されたという。
この伝承は『古事記』や『日本書紀』に記された金山彦神の神話ではなく、南宮大社に伝わる鎮座由緒である。記紀の神武東征で道案内を務める八咫烏と、金山彦大神を結びつけることによって、南宮大社では主祭神が国土平定を助けた神として位置づけられている。
南宮大社は古く「仲山金山彦神社」と称したが、美濃国府の南方に鎮座することから「南宮」と呼ばれるようになったと伝わる。『延喜式』神名帳にも「仲山金山彦神社」の名が見え、金山彦大神を祀る古社として長い歴史をもつ。鉱山・金属の神という神格に加え、地域と国を守る神として崇敬されてきたのである。

出典・参考:南宮大社公式サイト「歴史」、『延喜式』神名帳、國學院大學「古事記神名データベース・金山毘古神」



金屋子神とは同じ神なのか
中国地方のたたら製鉄では、金屋子神《かなやごのかみ》と呼ばれる製鉄神が広く信仰されてきた。金山彦神と同じ金属・製鉄を守る神であるため、両神はしばしば同一視され、金山彦神を金屋子神の別名とする伝承も生まれた。
しかし、金屋子神の位置づけは地域や伝承によって異なる。金山彦神・金山姫神や天目一箇神《あめのまひとつのかみ》と同一の神とする説がある一方、これらとは別の神とする説もある。金屋子神を金山彦神とカナヤマヒメノカミの子とする関係は、『古事記』や『日本書紀』には記されていない。
金屋子神信仰は、山陰地方を中心に発達した実際のたたら製鉄と深く結びついている。記紀に登場する鉱山神である金山彦神は、各地の製鉄に携わる人々の信仰と結びつくなかで、金屋子神と重ねられるようになったと考えられる。両神の関係を一つに定めることはできないが、金属を生み出す仕事を守るという共通の神格によって、同一の神とも深く関係する神とも考えられてきたのである。

出典・参考:『古事記』、『日本書紀』、島根大学『金屋子神の諸相』、鉄の道文化圏推進協議会「金屋子神を祀る人たち」



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出典文献

古事記

日本書紀

先代旧事本紀

延喜式

続日本後紀

神格

鍛冶の神 金工の神 鋳物の神 鉱山の神

ご神徳

金属工業守護 金運上昇 商売繁昌 開運招福 災難除け 厄除け

別称・異称

金山毘古神

かなやまびこのかみ

古事記

金山彦

かなやまひこ

日本書紀

金山彦神

かなやまひこのかみ

先代旧事本紀/延喜式/続日本後紀

金山孫神

かなやまびこのかみ

延喜式

金山彦大神

かなやまひこのおおかみ

続日本後紀

金山比古命

かなやまひこのみこと

その他

神様グループ

三十五神 

祀られている主な神社

御金神社
(京都府中京区西洞院通御池上ル押西洞院町614)
南宮大社
(岐阜県垂井町宮代字峯1734番地の1)
黄金山神社
(宮城県石巻市鮎川浜字金華山5番地 )
黄金山神社
(宮城県涌谷町涌谷字黄金宮前23 )
釜石製鐵所山神社
(岩手県釜石市桜木町1-5-1)