有名度
前頭上位小野神社
おのじんじゃ
東京都多摩市一ノ宮1-18-8
木造随身椅像
更新日:2025年12月11日
木造随身椅像
小野神社の木造随身椅像は、東京都多摩市に鎮座する小野神社に伝わる貴重な文化財で、鎌倉時代から現代に至るまで大切に受け継がれてきた歴史ある神像です。小野神社は、武蔵国一之宮のひとつに数えられる由緒ある古社で、古くから武蔵国の中枢的な信仰の場として知られてきました。その格式ある神社に伝来する木造随身椅像は、都内でも極めて数の少ない貴重な随身像として高く評価されています。随身像とは、神社の門や社殿を守護する近衛武官の姿を表した像で、神の側に仕え、邪気や災厄の侵入を防ぐ役割を持つ守護神像です。小野神社の随身像は「椅像」と呼ばれる形式で、椅子に腰掛けて脚を垂らした姿勢をとるのが大きな特徴です。この姿勢は格式の高さや威厳を表す表現とされ、現存数が少ないことからも美術史的に重要な作例とされています。
境内の収蔵庫には、二体一対の木造随身椅像が収められています。小野神社は火災や氾濫などの被害を幾度も受けたため、古い資料はほとんど残っていませんでしたが、1974年(昭和49年)、随身椅像の挿首内や胴部の内側から墨書銘が発見され、制作年代や由来が明らかになりました。
それによると、一体は元応元年(1319年)に因幡法橋応円が作製したもので、総高は約74.5cmに及びます。この像は神社造立時から安置されていたと考えられています。もう一体は、この像が寛永5年(1628年)に修復された際、鎌倉仏師の大弐宗慶によって新たに補作されたものとされ、総高は約52.3cmです。二体とも鎌倉から江戸初期にかけての信仰と造形技術を今に伝える極めて貴重な作例となっています。
両像はいずれも檜材を用いた寄木造で制作され、表面には胡粉地に彩色が施されています。頭部は挿首構造となっており、目には玉眼が嵌入され、像に強い生命感と威厳を与えています。また、胎内や胴体内部に残された墨書は、制作年代や修理の記録、奉納に関わった人物を知るうえで重要な資料となっています。
1975年(昭和50年)には本格的な修理が行われ、その後、東京都指定有形文化財(彫刻)に指定されました。現在も保存状態は良好に保たれており、神仏習合の時代背景を色濃く反映した作例として、神社に伝わる神像でありながら仏像彫刻の技法が用いられている点も、学術的に極めて高い評価を受けています。
木造随身椅像は通常、社殿内の収蔵庫に安置されており、常時一般公開はされていませんが、東京文化財ウィークなどの特別公開期間にあわせて、年に一度ほど限定公開されることがあります。公開時には、多くの参拝者や文化財愛好家が訪れ、鎌倉時代から続く信仰と、日本の木彫彫刻の高度な造形美を間近で体感できる貴重な機会となっています。
小野神社の木造随身椅像は、神域を守る存在としての信仰、幾多の災害を乗り越えて守り継がれてきた歴史、そして日本彫刻史における貴重な技術と様式を今に伝える、極めて価値の高い文化財です。

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